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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅療養における看取り等研修会(市内ブロック)

府医ニュース

2020年1月15日 第2916号

死因調査体制の確立が重要

 在宅療養における看取り等研修会(市内ブロック)が令和元年11月7日午後、大阪府医師会館で行われた。本研修会は大阪府在宅医療総合支援事業として府医が受託しているもので、今回は大阪市内ブロック向けに開催。医師会役員、在宅医療・介護連携担当医師、警察医・監察医ら約120人が聴講した。
 当日は和田正彦氏(大阪府警察医会副会長)が座長を務め、はじめに宮川松剛理事があいさつ。高齢化が進む中、在宅でその人らしい最期を迎えることが大切であると説明した。一方で、大阪市では消防隊の到着時に自宅で既に死亡し搬送できないケースが多いとし、大きな課題であると指摘。かかりつけ医や訪問看護師、救急医療現場などが力を合わせて対応していく必要があると強調した。
 続いて、石田昭夫氏(大阪府健康医療部保健医療室保険医療企画課)が「大阪府における死因調査体制の整備に向けて」と題して講演。大阪府内の死亡者数は年々増加し、2040年には約12万人とピークを迎えるとした。また、看取りに関する意識調査では、国民の約7割が自宅で最期を迎えることを望んでいるとし、今後自宅での死亡数が増加することが推測されると述べた。更に、大阪府における死因調査体制の現状・課題を示した上で、超高齢社会に向けた体制の確立が重要と呼びかけた。
 次いで、巽信二氏(近畿大学医学部法医学教室主任教授)が「在宅看取りにおける多職種連携について――死亡診断から死亡診断書の書き方まで」と題して登壇した。巽氏は、高齢化に伴い看取りの場所や状況は多種多様であるとし、死亡診断に関わる法規を紹介。▽応召義務▽証明文書の交付義務▽無診治療などの禁止▽異状死体等の届出義務――について詳しく解説した。また、死亡診断書と死亡検案書の使い分けや医師が看取ることができなかった場合の対応のほか、死亡診断書に記載する「死亡原因」の定義などに言及した。