TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新春のごあいさつ

大阪府医師会長 茂松茂人

府医ニュース

2020年1月1日 第2915号

医師会が一体となって「国民医療」を守る

 明けましておめでとうございます。令和2年の新年を迎えるにあたり、一言ごあいさつを申し上げます。会員の先生方におかれましては、健やかに新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。また、昨年は本会の諸事業にご支援、ご協力をいただき感謝を申し上げます。
 近年は地球温暖化の影響を受けて毎年のように大きな災害に見舞われ、昨年も大型台風・大雨の影響によって広範囲に甚大な被害が発生し、多くの尊い命が失われました。このような災害が繰り返されないよう願うばかりですが、私達はただ自然災害の脅威に怯えるばかりでなく、地球規模での温暖化を招いている二酸化炭素排出の削減に向けて国際社会の一員として、できる、できないではなく、覚悟を持って取り組まなければならない課題だと災害を契機にあらためて痛感いたしました。今年は約半世紀ぶりに再び東京でオリンピック、パラリンピックが開催されます。年々厳しくなる酷暑によるマラソンや競歩選手への健康被害に配慮して、開催地が変更となる予期せぬ事態もございましたが、冷静に選手や観客の健康をどう守っていくかを考えれば、なぜ酷暑期間中に開催しなければならないのか大いに疑問で、オリンピックの商業主義的な側面も垣間見え、選手が犠牲になっているように思えます。
 さて、今年は、いよいよ社会保障制度改革の議論が本格化し、政府の基本方針、具体的施策が6月の「骨太の方針2020」に反映されます。団塊の世代が後期高齢者となり始める2022年以降の社会保障費膨張、更には団塊ジュニア世代がすべて65歳を迎え、かつ現役世代人口が急減する2040年を見据えて、給付抑制と負担増を狙った改革メニューが目白押しの状況にあります。このままでは、特に高齢者にとっては非常に厳しい改革が待ち構えていると言わざるを得ません。こうした中、日本医師会においては横倉義武会長を先頭に、時に政権と対峙することもいとわず、負担増が患者の受診抑制につながると警鐘を鳴らすとともに、社会保障の充実によって国民不安を解消することが重要であると強調してこられました。今後もこれまで築き上げてこられた政治力を最大限に発揮し、制度の改悪を阻止していただくことを切望しますし、私どもも社会保障が後退することのないよう日本医師会を全力で支えてまいりたいと考えております。
 昨年開催されたラグビーのワールドカップでは、ワンチームのスローガンの下、チームがひとつになって見事な成果をあげました。今、我々医師会に求められることも同じで、少しくらい意見の違いがあっても組織が一本となって、国民の立場に立って、国民に理解される、しっかりとした政策提言を行い、社会保障としての医療を守ることは当然のことながら、地域医療の衰退に歯止めをかけ、国民のすべてが安心して安全な医療が公平に受けられるよう、引き続き努力していくことであります。会内においても課題が山積していますが、適切に取り組んでまいります。
 今年も日本医師会と連携し、与えられた使命を果たしていく所存でありますので、会員の先生方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。会員ならびにご家族、職員の皆様方が今年1年ご健勝でご活躍されることを心より祈念申し上げます。