TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

年末恒例

本紙が選ぶ2019 10大トピックス +(プラス)2

府医ニュース

2019年12月25日 第2914号

小児AYA世代のがん初調査結果が公表される

 国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは今秋、39歳以下のがんについて全国規模の調査結果を公表した。
 国立の2研究センターが協働集計する初の試みである。この世代のがんは絶対数としては少ないため、2016・17年の通年での集計となった。がんと診断されたのは、小児(0~14歳)4513例、AYA世代(15~39歳:小児と成人の境界の世代)5万7788例の、合計6万2301例であった。小児のがんは白血病、脳腫瘍、神経芽腫、肉腫などで、成人期のがんとは種類が異なるが、AYA世代となると、白血病などの小児のがんに成人期のがんが混在する多様な構成を呈してくる。
 発症数は25歳を過ぎると飛躍的に増加し、しかも小児期の発症には性差は認められなかったものが、20歳以降は女性の発症が多く、20~39歳のがんでは実に8割が女性で、専ら子宮頸がんと乳がんの増加による。20歳以上の女性への子宮頸がん検診の重要性は強調しても、し過ぎることはないが、実際の受診率は30%台と、とても十分とは言えない。この世代は、心身の成長そして成熟過程にあって、多くのライフ・イベント(進学、就職、結婚、出産等)の集中する年代である。その治療には移行期医療として、教育をはじめ、それぞれの年齢に応じた療養環境や、きめ細かな人的サポートが必要である。小児・AYA世代(思春期・若年成人)のがんの長期フォローアップ体制整備事業を、厚生労働省委託事業として日本小児血液・がん学会が19年より開始したが、その責を担う多職種協働チームの育成が期待される。
(猫)

空飛ぶ車

 空飛ぶ車と言われる概念が出てきたのはごく最近である。その外観のほとんどが『ドローン』に酷似するが、このドローンという言葉には歴史がある。本来の『ドローン』は軍事用無人機を指し、物騒なイメージを持つ。我々が持つ軽いイメージの『ドローン』は、2010年、フランスParrot社によって発売された数基のプロペラで浮上する民生用電動マルチコプターが火付け役である。
 ドローンという言葉には「ブーン」という羽音の意味がある。現在はその性能の良さから後追いの中国のメーカーが市場を席巻しているが、空飛ぶ車はマルチコプターの安定性に触発され発展したイメージである。背景には高性能モーターとリチウム電池の進歩があったため、日本も多大なる貢献をした。
 構造が簡単なため電子カルテ会社も参入しているが、自動運転にはAIが根幹となるため、その意味は理解できる。勝手に運転させないことが市場拡大には必須ということだ。自分で飛びたいと思う自由人は、立体的に囲われた見えない枠の中でマニュアル運転を楽しめるが、枠の外に出る直前に引き戻される。現在の目標は高性能電池と自動運転技術であり、遅れて参入しても残り福が十分にある。
 大阪府も空飛ぶ車構想を提示しているが、競争が激しい分野であるため、国家プロジェクトとして推進していく必要がある。実際、経済産業省と国土交通省は、空の移動革命に向けた官民協議会を立ち上げているが、競争に勝つためには日本が世界的に強い分野を見越して技術開発しなければならない。空飛ぶ車を使ったへき地医療への国家財政投入も、まんざら戯言でもないような気がする。
(晴)

「働き方改革」の実施、始まる

 「戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革」と呼ばれる8つの労働法の改正が、順次施行されている。
 今年4月からは「年次有給休暇の年5日の時季指定」および「労働時間の状況の把握」等が義務化された。
 前者は、年次有給休暇が年10日以上付与される〝パート・アルバイトを含む”労働者に対して、自ら申し出て取得した日数や計画的付与で取得した日数を含めて、年5日取得させる義務で、年次有給休暇管理簿(基準日、与えた日数、取得・指定した時季を明らかにした書類)の作成も義務付けられた。
 後者は〝管理監督者を含めた”すべての労働者の労働時間の状況を、客観的方法(タイムカードやパソコンのログ等)、その他適切な方法で把握する義務である。
 〝医師以外の”時間外労働の上限規制は、大規模医療機関(法人単位で常時使用する労働者数が100人超など)では今年4月から、小規模医療機関(同100人以下など)では来年4月からの施行である。上限は原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情により労使が合意(特別条項付36協定)して超える場合でも、年720時間以内(休日労働を含まない)、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)となる。そして原則の月45時間を超えることができるのは、年6回までとなっている。
 働き方改革は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現のためと謳われているが、診療所においては、対応に苦慮し、新規の採用も難しく、診療時間を縮小せざるを得なかったケースも稀ではない。
 医師については、応召義務等の特殊性を踏まえ、2024年度からの適用とされた。3月に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会」報告書を基に、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で議論中である。
 来年度の診療報酬改定において、医師等の働き方改革の推進は、基本的視点の重点課題に位置付けられている。また、厚生労働省は、現代における医師の応召義務に関する解釈通知を発出する方針を示している。
 もっとも、開業医も厚労省官僚(国家公務員)も、働き方改革の蚊帳の外(労働基準法の適用除外)ではある。
(学)

厚労省が公立・公的医療機関等の"再編・統合対象リスト"を公表
地域医療の自主的構築が危ぶまれる

 2025年問題や国民医療費増加に対処するべく、2年間にわたって地域医療構想の検討が続けられてきた。病床機能の適正なバランスの促しと、病床過剰に対しては公費が投入されている公立病院を削減対象とするという二つの柱が掲げられてきた。地域ごとでの医療ニーズを踏まえての地域関係者自身による自主的な論議による構想策定が期待された。当然、様々な立場の医療機関の間での調整は一朝一夕に決着するものではない。
 本年9月、厚生労働省が突然、全国424の公立・公的病院等を〝再編・統合対象リスト”として公表した。地域医療構想の論議に進展が見られぬことに業を煮やしてのことである。高度急性期・急性期機能に着目しての分析結果に基づき、1年以内での対応策の立案を求めた。公立・公的病院等の25%以上が対象となったことに衝撃が走った。公立病院の整備を政策の目玉としている首長からは「地域の実情を考慮していない」、公的とされた病院からは「税は投入されていないのになぜ」との反発が。日本医師会もリストはあくまで参考資料であり、地域調整会議での自主的な論議を進めることを求めた。また、再編・統合が必要との判断がなされた場合は、公立病院が引くべきという点を強調した。
 厚労省は想定外の反発に慌てた。全国7カ所で「地域医療確保に関する国と地方の協議会」を開催し、説明に追われた。「再編・統合にはダウンサイジング・機能分化・連携・集約化が含まれる」「あくまで自主的な再編論議を」と。しかし、時すでに遅しである。リストに挙げられたため、当該病院内の動揺や、地域連携の混乱への危惧が広まってしまっている。
 今後、民間病院のデータも地域調整会議に提供するとのことである。客観的評価ツールを用いての多面的な論議は必要である。しかし、地域に根差しての自主的な医療体制の構築には、余程の慎重な配慮を求めたい。厚労省高官の「我々の真意とは異なった報道に困惑している」との発言には何をかいわんやである。
(翔)

絶望の消費増税、希望の反緊縮運動

 前政権下で行われた三党合意「社会保障と税の一体改革」。亀井静香国民新党代表(当時)が消費増税案に反発し連立離脱を表明。それが引き金となり、積極財政を訴えていた唯一の保守政党であった国民新党はその後消滅した。
 政権交代後の安倍晋三首相は経済政策としてアベノミクスを高らかにあげる。その第一の矢、金融緩和。日銀が発行する貨幣量は確かに増え、金利はゼロに近い低水準にある。しかし、不況にあえぐ中小企業は借入できない状況が続いている。
 デフレで有効と思われた財政出動の第二の矢。政府支出によって直接国民へ貨幣が流れる政策が期待されたが、逆に、新規国債は削減されている。
 第三の矢に関しては成長戦略という名の規制緩和策が行われ、小泉純一郎政権時代からの新自由主義路線が引き継がれている。
 上記で挙げた三党合意通り、消費税は2014年に8%に引き上げられた。そしてデフレの中、本年10月、10%の消費増税が実施された。GDPの6割を占めると言われる国内消費に税をかけるのだからGDPが下がるのは当然である。
 この緊縮不況下の10%増税前に、反緊縮をスローガンに有識者達が立ち上がった。京都大学の藤井聡教授を中心として作られた「令和の政策ピボット」、もうひとつは立命館大学の松尾匡教授が主導した「薔薇マークキャンペーン」である。この反緊縮運動のうねりは、西田昌司参議院議員のMMTに関する国会質疑、山本太郎参議院議員(当時)のれいわ新選組の設立へとつながる。
 最近の国政選挙ではれいわ新選組や一部与野党候補者を除き、小選挙区制のためか政党の政策公約通り緊縮政策を訴える者ばかりであった。そのような状況下で医療費の財源論にも関わる反緊縮の選択肢を増やすためには、最低限の経済の仕組みを理解する必要がある。通貨発行権のある国の赤字は民間の黒字。そろそろ医療者も経済を語ろうではないか。(真)

あおり運転、高齢者運転事故が社会問題化

 常盤自動車道でのあおり運転殴打事件の映像はあまりにも衝撃的であった。その後もあちこちであおり運転の映像がテレビ等で流され、その生々しい実態を知るにあたり社会問題となった。
 あおり運転は、一歩間違えれば大事故になることは想像に難くないが、悪質なあおり運転をするドライバーは、ほとんどが常習的でエスカレートさせており、時としてそれが死亡事故に至る。実際、2年前、東名高速道路であおり運転を受け、停止させられた車にトラックが追突し、一家4人が死傷した事故がある。現在、その裁判にも注目が集まっているが、その罪の重さは被害者家族の悲しみの深さに到底届くものではなく、虚しさが残るだけに違いない。
 あおり運転の裁判では、常に「業務上過失致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」の議論から始まるが、法律と世間の認識には大きな齟齬がある。犠牲者を出した悪質なあおり運転には、殺人犯罪者としての厳罰化を検討して然るべきであり、社会の賛同も得られるはずである。
 今年はまた、高齢者運転事故のニュースも目立った。高齢者運転事故の場合、暴走、逆走のため大惨事を引き起こしやすい。特に、東池袋自動車暴走死傷事故では母子2人が死亡、10人が負傷した。子どもの犠牲は悲劇の極みで、不謹慎かもしれないが、順番が違うだろうという心情にもなる。被害者家族にとっては、高齢加害者に責任、厳罰を問うにも報われ難く、まして認知症ともなればやり場がない。
 いずれにせよ、厳罰化と防止策、社会が求める一刻も早い行政府の踏み込んだ施策が望まれる。そして、車の制御機能の発達とともにドライバーの心の制御機能がなければ、悲劇はなくならない。(誠)

成育基本法

 成育基本法(成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律)が昨年12月8日に国会で成立し、今年12月1日から施行された。
 日本医師会が、日本小児科医会、日本産婦人科医会とともに成立に向けて尽力してきたものである。妊娠、出産、子育てに関する行政の縦割りを解消し、妊娠期から子どもの成育過程を通じて切れ目のない医療、教育、福祉を子どもと保護者に提供することを目指し、今後様々な施策が行われる一歩となるはずである。
 ヒトの子どもは産むのも育てるのも大変な労力と時間と経済的負担がかかる。現代の日本では医療と衛生環境のおかげで妊産婦や乳幼児の死亡率は低率であるが、妊娠、出産、子育てが大事業であることには変わりがない。加えて子どもを巡る様々な事件、事故の報道に不安になることもあるだろう。
 この法律は少子化対策と絡めて語られることが多いが、私は、出生数を増やすことだけが目的であってはならないと思う。子どもを産み、育てることは大変ではあっても、大きな喜びでもあると実感できるためには、社会全体で支えることが必要であり、結果的に出生数が増えるのであれば良い。本法の施行後を注視したい。(瞳)

認知症施策 推進大綱

 6月18日、認知症施策推進大綱が関係閣僚会議で決定された。今回の大綱の基本的な考え方は、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進するというものである。
 認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症に対して、これまでアミロイド仮説等に基づいて様々な治験が行われているが、残念ながら未だ疾患修飾薬が上市されるには至っていない。また、現時点では疾患修飾薬開発の見通しも立っていないため、認知症発症や進行の仕組みの解明、診断法、治療法等の研究開発は推進するものの、今できる現実的な対応としての考えから、施策の中心は「共生」と「予防」とすることになった。
 「予防」については、現在、疫学研究、動物実験などから様々な危険因子、予防についての知見が唱えられているが、確実に認知症発症を抑制するだけのエビデンスレベルではない。これは、認知症の診断基準の整備は行われているものの、その病因は、単一のものではないためと考えられている。そのため、今回の「予防」は、「認知症にならない」ための「予防」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味であると定義された。
 一次予防は発症を遅らせる、二次予防は早期発見・早期対応、三次予防は発症後の進行を遅らせる取り組みである。ちなみにこの大綱の期間は、2025年までとされている。次世代の認知症治療薬の開発が待たれる。
(榮)

全世代型社会保障検討会議開催

 政府は誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討を行うためとの主旨で、9月20日に第1回全世代型社会保障検討会議を開催した。同検討会議は議長に安倍晋三・内閣総理大臣、議長代理に西村康稔・全世代型社会保障改革担当大臣、そして麻生太郎・副総理兼財務大臣等の主要閣僚と民間有識者9人、計16人から構成される。
 基礎資料によると、年齢別の人口増加率の推移では、団塊世代が後期高齢者入りする2022年以降の数年間は、一時的に75歳以上人口の増加率が高まる。生産年齢人口と就業者数では、最近7年間で生産年齢人口は540万人減少したが、就業者数は450万人増加した。共働き世帯数は92年に専業主婦世帯数と逆転し、18年は1200万世帯となり、専業主婦世帯数の2倍を超えた。60歳以上の方の8割は70歳以降まで働くことを希望している。06年・13年の高年齢者雇用安定法の改正を受けて、60代前半男性の就業率が上昇し、18年には80%を超えた。厚生年金の被保険者数は、労働者が増えることによって、12年度末の3472万人から、17年度末の3911万人まで、440万人拡大した。公的年金受給開始時期の弾力化では、現在60歳から70歳まで選択可能となっている年金受給開始の時期について70歳以降も選択できるよう、その範囲を拡大する。高齢者ほど1人あたり年間医療費は増加し、85歳以上では100万円を超えている。
 19年度の社会保障給付費(予算ベース)は123.7兆円(対GDP比21.9%)で、年金56.9兆円(46%)、医療39.6兆円(32%)、福祉その他27.2兆円(22%)であり、「40年を見据えた社会保障の将来見通し」(18年5月)では、一定の仮定をおいた上で、社会保障給付費の対GDP比は25年度に21.7~21.8%、40年度に23.8~24.0%になると予測する。
 骨太の方針2019(19年6月21日閣議決定)、新経済・財政再生計画改革工程表(18年12月20日)[社会保障分野]、成長戦略実行計画(19年6月21日閣議決定)もあわせて配布され、給付と負担の在り方に関する検討が始まり、来年夏には最終報告をまとめる予定とのことであり、注視していくことが必要である。
(中)

激甚災害

 令和の御代を顧み、最も記憶に残ったのが台風19号である。住処や農地を奪われた人々の苦難は察するに余りある。電気・水道や鉄道などの交通機関の被害も広範囲であった。
 政府は「激甚災害指定」を行った。被害に対して財政的援助という予算措置が取られるわけである。洪水を伴う大型台風に端を発する本法の公布は昭和37年、と近年の温暖化以降のことではない。ジェーン、室戸、第二室戸、伊勢湾など当時の台風も大型だった。
 熱帯性低気圧は海面の異常な温度上昇がトリガーになる。超大型台風の生起に、地球温暖化に原因を求める報道が目についた。北欧の女子高生の絶叫とともに絵になりやすい構図でもある。
 温暖化は二酸化炭素が原因であるという。しかし排泄の30%を占める中国は途上国と称して埒外で、15%の米はCOPから脱退を表明した。これも不都合な真実になるのか。(冬)

キャッシュレスの波

 2019年、現金払いが常識の我が国がキャッシュレスの波に洗われている。訪日客の利便向上と購買促進の思惑もあろうが、ポイント還元策なども含め消費増税不満の目眩ましかと勘ぐってしまうのはヘソ曲がりの哀しさ。さて、キャッシュレスの先駆けはクレジットカードだった。取得には当初それなりのハードルがあり、医局のペーペー時代には定職に就いていないとして拒否の憂き目にも遭ったが、ハードルは低くなっている。ICカードで改札をノンストップで通り抜けられるのは確かに快感。少額のカード払いには少々引け目を感じる世代なのだが、小銭出し入れの煩わしさから解放されるは有り難い。昨今、電子マネー(ICカード)、QRコードなどが氾濫し、ナントカPayのコマーシャルも姦しい。でも、急速に浸透してきたスマホ決済には馴染めそうにない。ところで、支払いの方法が変わってくると受診料の支払いにも影響が及びそうだ。先日受けた精密検査の折、会計窓口にひっそり提示されていた“クレジットカード可”の小看板を見つけ使ってみた。ちょっと心地よかった。医院の会計をキャッシュレス対応にすると、受けとる医院側にはキャリアごとの手数料、読み取り装置設置などのコストが発生し、支払う受診者側にもID、パスワード、暗証番号などの管理が必須となる。認知症域に近い受診者の増加やセキュリティ面から会計時の混乱が懸念される。商的には医療現場向けにPOSレジシステム=POSレジ+レセコン連動という式が成り立つというが。はてさて……。(禾)

2019 ラグビーワールドカップ日本大会開催

 今年も我が国では暗いニュースが多かったが、数少ない明るい話題として、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催が挙げられる。
 日本代表は1987年の第1回大会から連続して出場しているが、2011年の第7回大会までの対戦成績は、1勝21敗2引き分けと惨憺たる結果であった。ところが15年の第8回イングランド大会において、優勝候補の南アフリカに勝利し、決勝トーナメントまで、あと少しというところまで、快進撃を繰り広げ、大変な盛り上がりをみせた。そして今回の自国開催である。その間に代表チームは、想像を絶する猛練習を続けていた。キャプテンのリーチ・マイケルは「練習量では世界のどの国にも負けていないという自信がある」と語っている。
 その結果、今大会では一次リーグ4戦全勝で1位通過という快挙を成し遂げた。準々決勝では、優勝した南アフリカに惜しくも敗れたが、日本中に感動を与えたことは記憶に新しい。今年の流行語大賞に「ONE TEAM」が選ばれ、「にわかファン」「笑わない男」「ジャッカル」「4年に一度じゃない。一生に一度だ」など、今大会の関連語がノミネートされたことからも、国民の関心の高さをうかがわせる。
 彼らの努力と功績は大絶賛されるべきである。大いに敬意を表するとともに、我々医療人も「ONE TEAM」として日々の様々な活動を行っていけたら、それは素晴らしいことではないか。(浩)