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医師・医療関係者のみなさまへ

地域医療構想の推進に関する説明会

府医ニュース

2019年12月18日 第2913号

救急医療の存続を危惧

 大阪府主催による「地域医療構想の推進に関する説明会」が11月22日午後、大阪府医師会館で開催され、郡市区等医師会長および地域医療担当役員ならびに病院関係者など約340人が出席した。

 最初に、中尾正俊・府医副会長が「地域医療構想にかかる大阪府医師会の考え方」について説明。まず、具体的対応方針の再検証が求められる公立・公的医療機関の公表により地域が混乱していると訴えた。その上で、公立・公的医療機関については、本来、その具体的対応方針の内容が、民間医療機関に担えない機能に重点化されているか否かで議論されるべきだと強調。それにもかかわらず、平成29年度の診療実績データを、A項目「各分析項目について、診療実績が特に少ない」、B項目「各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している」の要件のみで分析し、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」または「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」であるかを選定していると苦言を呈した。更に、この要件が民間病院にも適用された場合、大阪府の救急医療体制は維持できなくなると危機感を表明した。あわせて、「地域の医療提供体制は、医師を中心にその地域の実情をよく知る関係者で協議し、決定すべき」とし、府医として全力でバックアップしていくと訴えた。
 続いて、地域医療構想・医師の働き方改革・医師確保について行政側より説明があり、最初に、松本晴樹・厚生労働省医政局地域医療計画課長補佐が「当面の地域医療構想等の推進に向けた取り組みについて」と題して解説。「今回の公立・公的病院の公表は、あくまで地域医療構想調整会議の議論の活性化のためであり、今回の分析だけでは判断できない診療領域や地域の実情を補いながら議論を尽くしていただきたい」と要請。その上で、ダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合の話が出てきた場合は必要な支援を行うとし、理解と協力を求めた。
 そのほか、畑山英明・大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課長補佐が「2019年度『地域医療構想』の進め方と進捗状況」、門脇績・大阪府健康医療部保健医療室医療対策課長補佐が「大阪の医療提供体制をめぐる動き――『働き方改革』『医師確保』」と題してそれぞれ解説。
 民間病院の診療実績データの提供に関するフロアからの質問に対して、松本課長補佐は、がん、救急など公立・公的病院の担うべき機能に重点化したデータの分析結果を示したのであって、具体的な評価指標には触れなかったものの、このロジックを民間病院に適用することはないと明言した。