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府医ニュース

2019年12月18日 第2913号

 ◆手の指を広げた長さが尺。足長はフィート。イナゴ豆の種でカラット。古来、尺度は身体や身近なもので表していた。人々で固有の生活に根差している。
 ◆19世紀に、国際統一単位が現れた。子午線の距離からメートル。水の重量からキログラム。それぞれの原器が各国で厳重に保管された。時間も地球の公転を1年。原器ごとの誤差、天体運行とのズレは見られた。
 ◆20世紀の技術革新で、原子レベルの現象を用いた定義に至っている。実験物理学での高精度な測定を可能にしている。ただし、国際基準は無機質で生活感とはなじまない。間合い・貫禄・お八つなど、生活に溶け込み、感慨を素直に表す古来の尺度が楽しい。
 ◆従来、地域医療計画の枠はあったが、病床機能は地域の実情を踏まえての自主的な構築が許された。近年の地域医療構想では、診療内容の評価を統一の係数を用いて標準化する。それを根拠に規制を強める。統一基準は客観的だがまさに杓子定規。地域の実情に応じた誤差が地域保健には必要である。(翔)