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府医ニュース

2019年11月27日 第2911号

 ◆レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に未完成の『聖ヒエロニムス』がある。彼の作品との裏付けの資料はないが、その肉体の正確な解剖学的表現から疑いはないとされる。
 ◆ルネサンス期、医学にも革新がもたらされ人体解剖が盛んになる。また、ミケランジェロなどの芸術家も写実表現を高めるために解剖を行っている。ダ・ヴィンチも解剖を行っているが、彼の場合はむしろ科学的な目で人体構造を探求するもので、数多くの詳細な素描を残している。
 ◆2016年の『ザ・ランセット』に、「腸間膜は断片化されておらず、複雑でもない、連続的な構造を持つ一つの臓器である」との論文が掲載された。これは、ダ・ヴィンチが解釈し素描に残した内容と一致し、解剖学書をも凌駕するものであった。
 ◆ダ・ヴィンチの素描は、解剖学の体系作りには未完成のものとなったが、やはりその功績は大きい。没後500年の今、医学における彼へのリスペクトとして、手術の革新をもたらした最新ロボット支援手術システムにその名を残している。(誠)