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医師・医療関係者のみなさまへ

健活おおさか推進府民会議2019 ~日本健康会議 in 大阪~

府医ニュース

2019年10月30日 第2908号

医療・経済・保険者等が立場を超えて取り組む

 日本健康会議の活動指針である「健康なまち・職場づくり宣言2020」の実現に向けた活動の一環として、地域版日本健康会議の開催が進められており、2018年2月の静岡県を皮切りに、宮城県(2月)・大分県(8月)・高知県(11月)・福岡県(19年1月)・福井県(3月)・埼玉県(7月)・三重県(9月)の8県で開催されてきた。9月13日午後、大阪市中央公会堂において、大阪府主催、日本健康会議共催により「健活おおさか推進府民会議2019 ~日本健康会議in大阪~」を開催。第1部:府民会議発足式、第2部:日本健康会議における取り組み、第3部:社会全体で推進する健康づくりの取り組み――の3部構成により行われ、約800名の府民が参加した。

医師会や企業と官民一体で健康寿命延伸

 第1部の府民会議発足式では、まず吉村洋文・大阪府知事があいさつ。会議の活動方針に基づき、医師会や企業関係者と力を合わせ、官民一体で府民の健康寿命延伸に取り組んでいきたいと抱負を語った。

地域の実情に応じた予防・健康づくりを

 次に、日本健康会議共同代表である横倉義武・日本医師会長があいさつ。日本健康会議について、「超高齢社会において、国民皆保険制度をはじめとする社会保障制度を維持できるのかとの疑問に対し、健康づくり推進による健康寿命の延伸を掲げて、2015年7月に発足した」と経緯を説明。加えて、国・自治体・事業者など一部の関係者だけでなく、医療・経済・保険者等すべての団体が、立場を超えて国民の健康問題に取り組むことの必要性を強調した。更に、都道府県ごとの地域の実情に応じた予防・健康づくりを推進することが有効であると断言。日医でも積極的に取り組んでいきたいとした。
 そのほか、加藤勝信・厚生労働大臣より、来賓ビデオメッセージが寄せられた。
 第2部では、「『健康なまち・職場づくり宣言2020』の達成状況」渡辺俊介氏(日本健康会議事務局長) 、「健康なまち・職場づくり 課題と政策の方向性――予防・健康づくりと日本健康会議の取り組み」八神敦雄氏(厚労省大臣官房審議官〈医療介護連携、データヘルス改革担当〉)、「健康経営の推進について」西川和見氏(経済産業省ヘルスケア産業課長)――の3題の報告・講演が行われ、日本健康会議における取り組み状況について説明された。
 第3部では、社会全体で推進する健康づくりの取り組みに関して説明。「健康寿命の延伸につながる健康経営の取り組みについて」岡田邦夫氏(特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、大阪府医師会健康スポーツ医学委員会副委員長)、「生活習慣病予防の重要性――慢性腎臓病(CKD)とは?」猪阪善隆氏(大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授)、「健康課題解決のための官民連携・市民共創の実践〈あしゆびプロジェクト〉」南出賢一氏(泉大津市長)、「サンスターグループの健康への取り組み」中西裕紀氏(サンスター㈱代表取締役)、「大阪市国保加入者への糖尿病性腎症重症化予防の取り組み」生野淑子氏(大阪市立総合医療センター糖尿病内科)の5題の講演・事例発表が行われた。

健康管理を経営的視点から考える

 岡田氏は長時間労働による急性心筋梗塞・脳卒中発症のリスクなどを解説したほか、睡眠不足による我が国の経済的損失が1380億ドルに相当すると指摘。また、働き方は暮らし方そのものとした上で、健康経営の考え方を紹介。健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しているとし、結果を出す健康づくりが必要とした。

日本健康会議

 少子高齢化が急速に進展する日本において、国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、民間組織が連携し、行政の全面的な支援の下、実効的な活動を行うために組織された活動体。
 経済団体・医療団体・保険者などの民間組織や自治体が連携し、職場、地域で具体的な対応策を実現していくことを目的としている。
 関係各所が連携し、課題解決に向けた具体的な活動を行い、その成果を継続的に可視化させることで、勤労世代の健康増進および高齢者の就労・社会参加を促進し、ひいては経済の活性化にもつなげることを目指す。

誰もが最期まで元気で過ごせる社会を

 閉会あいさつを行った茂松茂人・府医会長は、経済格差が健康格差につながる現状を憂慮。発足式を契機として、健康づくりをサポートする様々な団体がひとつのベクトルに向けて動き出し、大阪が活性化することを祈念しているとした。
 また、健康づくりの推進においては、一人ひとりが日常生活で健康を意識し、健診・検診を通じて病の早期発見・早期治療につなげていくことが重要であると強調。それにより、「誰もが最期まで元気で過ごせる社会」を構築できると断言した。
 最後に、2025年の大阪・関西万博に向けて、大阪が期待の持てる街になっていくと見通した上で、それを支えるのは府民であると参加者に呼びかけ、健活の推進をベースに、未来のある明るい大阪にしていきたいと締めくくった。