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医師・医療関係者のみなさまへ

第140回エイジレス健康講座

府医ニュース

2019年10月16日 第2907号

「見えづらさ」自覚すれば眼科を受診

 大阪府医師会およびATCエイジレスセンター実行委員会の主催による大阪府民を対象としたイベント「エイジレス健康講座」が9月21日午後、住之江区のATCエイジレスセンターで開かれた。第140回を迎える今回は、小林千穂氏(大阪府眼科医会推薦/大阪掖済会病院眼科医長)が「眼が見にくくなった、眼鏡作り直せば大丈夫?」と題して講演。近隣住民ら約30人が聴講した。

 まず、目の構造や物が見える仕組みを解説する中で、「見えにくくなる」背景には、加齢のほかにも疾患が原因となることがあるとし、飛蚊症を説明。大多数は老化に伴う生理的変化とする一方で、硝子体出血や網膜剥離といった疾患も考えられることから、「飛蚊症の症状が急激に悪化すれば、速やかに眼科を受診してほしい」と促した。
 次いで、白内障を挙げ、手術のタイミングをアドバイス。日常生活で不便を感じた時に検討してほしいとした。あわせて、「単焦点眼内レンズ」「多焦点眼内レンズ」を説明。主治医と相談した上で、「自身の利便性」を判断基準にするよう助言した。また、ドライアイや緑内障にも触れ、それぞれの症状や治療法などを説示。特に、緑内障に関しては、失明の危険性があることから、早い段階で治療を開始し、「進行を緩やかにすることが重要」と述べた。
 そのほか、加齢黄斑変性症では、「iPS細胞を用いた治療」が進みつつあるとし、今後の展開に期待を寄せた。更に、糖尿病性網膜症にも触れ、「内科と連携してコントロールすることが重要」と強調。眼鏡のピントを合わせることで見やすくなることもあるが、疾患が原因の場合は、治療の遅れによって重大な障害が後遺することもあり、「見えづらさを自覚した際には、眼科を受診してほしい」と結んだ。