TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

時事

全世代型社会保障検討会議開催

府医ニュース

2019年10月16日 第2907号

給付と負担について検討

 政府は少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討を行うためとの主旨で、9月20日に第1回全世代型社会保障検討会議を開催した。同検討会議は議長に安倍晋三・内閣総理大臣、議長代理に西村康稔・全世代型社会保障改革担当大臣、そして麻生太郎・副総理兼財務大臣、菅義偉・内閣官房長官、高市早苗・総務大臣、加藤勝信・厚生労働大臣、菅原一秀・経済産業大臣の主要官僚と民間有識者9人、計16人から構成される。有識者は遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所長、翁百合・㈱日本総合研究所理事長、鎌田耕一・東洋大学名誉教授、櫻田謙悟・SOMPOホールディングス㈱グループCEO取締役代表執行役社長、清家篤・日本私立学校振興・共済事業団理事長、中西宏明・㈱日立製作所取締役会長兼執行役、新浪剛史・サントリーホールディングス㈱代表取締役社長、増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授、柳川範之・東京大学大学院経済学研究科教授の各氏である。また、その所属している政策会議は、新浪氏と柳川氏は経済財政諮問会議、翁氏と櫻田氏は未来投資会議、中西氏は前述の2会議、清家氏は社会保障制度改革推進会議、遠藤氏と増田氏は前述の社会保障制度改革推進会議と社会保障審議会、鎌田氏は労働政策審議会である。
 配布された基礎資料によると、年齢別の人口増加率の推移では、団塊世代が後期高齢者入りする2022年以降の数年間は、一時的に75歳以上人口の増加率が高まる。生産年齢人口と就業者数では、最近7年間で生産年齢人口は540万人減少したが、就業者数は450万人増加した。日本の男性の就業率は先進国で最も高い水準にある。日本の15~59歳女性の就業率は近年急上昇し、米国より高い水準にあり、60歳以降女性の就業率は米国に次いで高い水準にある。共働き世帯数は92年に専業主婦世帯数と逆転し、18年は1200万世帯となり、専業主婦世帯数の2倍を超えた。60歳以上の方の8割は70歳以降まで働くことを希望している。06年・13年の高年齢者雇用安定法の改正を受けて、60代前半男性の就業率が上昇し、18年には80%を超えた。厚生年金の被保険者数は、労働者が増えることによって、12年度末の3472万人から、17年度末の3911万人まで、440万人拡大した。公的年金受給開始時期の弾力化では、現在60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始の時期について70歳以降も選択できるよう、その範囲を拡大する。高齢者ほど1人あたり年間医療費は増加し、85歳以上では100万円を超えている。
 19年度の社会保障給付費(予算ベース)は123.7兆円(対GDP比21.9%)で、年金56.9兆円(46%)、医療39.6兆円(32%)、福祉その他27.2兆円(22%)であり、「40年を見据えた社会保障の将来見通し」(18年5月)では、一定の仮定をおいた上で、社会保障給付費の対GDP比は25年度に21.7~21.8%、40年度に23.8~24.0%になると予測する。骨太の方針2019(19年6月21日閣議決定)、新経済・財政再生計画改革工程表(18年12月20日)[社会保障分野]、成長戦略実行計画(19年6月21日閣議決定)もあわせて配布され、給付と負担の在り方に関する検討が始まり、12月に中間的な取りまとめを示し、来年夏には最終報告をまとめる予定とのことであり、注視していくことが必要で、適時「時事」で報告したい。(中)