TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.60

府医ニュース

2019年10月2日 第2906号

地域医療構想の認知度について  文 島田 永和(羽曳野市)

 前回までの2回(第2900号、2903号)で、年代によって、また立場によって、現状の病床に関する認識が異なることを示してきました。厚生労働省は地域医療構想の推進が喫緊の課題と認識しているようですが、こうした国の方針に対して、大阪府医師会員の認識はどうでしょうか? 地域医療構想の認知度について尋ねた結果が図1です。
 若い年代ほど知らない人が多く、年代が上がるにつれ認知度は上がってきます。若い医師達は医療での外部環境の変化についての知識が不足しており、これからの体制を議論するには、まずは知識として知る必要があると思われます。
 同じ問いを立場の違いで見たのが図2です。病床に関することだからでしょうか、病院長の回答は、診療所長、勤務医とは全く異なり、「よく知っている」と「ある程度知っている」を加えると8割を超えます。
 我が国で起こっている急速な人口構造の変化と人口減少の中、持続可能な医療提供体制を確立することは容易ではないでしょう。社会保障の負担を担うとともに恩恵を受けることになる国民、医療提供者、そして、行政の三者が、今までと同じでは、維持が難しいことになります。行政においては丁寧で正確な情報を提供する責任があります。また医療提供者は、現状を正確に認識し改革の方向性について意見を求められる立場でもあります。そして、国民も社会保障の在り方に関して、積極的に関与する姿勢が必要でしょう。こうしたそれぞれの立場の努力から社会的なコンセンサスが形成されなければ、改革のソフトランディングへの道のりは遠いと思われます。