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時事

データヘルス改革、進む

府医ニュース

2019年9月25日 第2905号

2021年度以降の未来像を示し加速化

 9月9日、厚生労働省「データヘルス改革推進本部」が第6回の会合を行い、「今後のデータヘルス改革の進め方について」取りまとめを行った。
 同推進本部は、健康・医療・介護を有機的に連結した、大規模なICTインフラ稼働のため、2017年1月に立ち上げられた。同年7月、「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画」を策定、18年7月には、詳細な工程表を作成した。〝被保険者番号の個人単位化”と〝オンライン資格確認システムの導入”を基盤として、①保健医療記録共有②救急時医療情報共有③健康スコアリング④データヘルス分析⑤乳幼児期・学童期の健康情報⑥科学的介護データ⑦がんゲノム⑧人工知能(AI)――の8つのサービスについて、20年度の開始を目指してきた。
 今回の計画では、21年度以降の将来像を示し、25年度までの工程表を策定、これまでの工程表に修正を行った。上記の8つのサービスを4つの柱に再編するとともに、それぞれ、【目指す未来(A)】、および【加速化する取り組み(B)】を掲げている。
 (1)ゲノム医療・AI活用の推進:(A)全ゲノム情報等を活用したがんや難病の原因究明、新たな診断・治療法等の開発、個人に最適化された患者本位の医療の提供/AIを用いた保健医療サービスの高度化、現場の負担軽減、(B)全ゲノム医療の実現に向けた体制整備、実行計画の策定/AI利活用の先行事例の着実な開発・実装。
 (2)個人の健康状態や服薬履歴等を本人や家族が把握、日常生活改善や健康増進等につなげるためのPHR(personal health record)の推進:(A)国民が健康・医療等の情報をスマートフォンやパソコンを通じて閲覧・確認し、容易に役立てることが可能に、(B)自らの情報を利活用するための環境整備/PHR推進のための包括的な検討。
 (3)医療・介護現場での情報利活用の推進:(A)患者等の過去の医療等情報を適切に確認/より質の高いサービス提供が可能に、(B)全国の医療機関で情報を確認できる仕組みの推進と、運用主体や費用負担の在り方の検討/電子カルテの標準化推進と標準規格の検討。
 (4)データベースの効果的な利活用の推進:(A)保健医療に関するビッグデータの利活用/行政による効果的な政策立案、民間企業・研究者による研究の活性化、患者の状態に応じた治療や科学的に効果が裏付けられた介護サービスの提供等、幅広い主体がメリットを享受、(B)ナショナル・データベース、介護保険総合データベース、DPCデータベースの連結精度向上と、連結解析対象データベースの拡充/個人単位化される被保険者番号を活用した医療等分野の情報連結の仕組みの検討。
 データヘルス時代の幕が開いている。行政や医療、地域の現場において、データを適切に使いこなし、不適切な利用から住民や患者を守る能力は、負けないスピードで進化することができるだろうか。(学)