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医師・医療関係者のみなさまへ

ロコモ研修会を初開催

府医ニュース

2019年9月4日 第2903号

「続けられる」運動指導が大切

 令和元年度ロコモ研修会(実習)が8月21日・22日の両日、大阪府医師会館で行われた。本研修会は、昨年まで日本医師会認定健康スポーツ医向けに開催していた「運動負荷試験講習(実習)」に代わるもので、今回は健康寿命延伸の観点から、運動器症候群(ロコモティブシンドローム/ロコモ)に焦点を当て実施。両日合わせて約100人が参加し、ロコモに関する正しい知識や患者へ啓発する際のポイントなどを確認した。

 両日とも小林正之氏(府医健康スポーツ医学委員会委員)が座長を務め、初日は宮田重樹氏(宮田医院長)、2日目は和田孝彦氏(オサダ整形外科理事長)が講義と実習を行った。講演に先立ちあいさつした前川たかし理事は、健康寿命を延ばすにはロコモやフレイルの予防が大切だとし、本研修会が日常診療の一助になればと期待を寄せた。
 講義ではまず、ロコモを「運動器の障害のために移動機能の低下を来した状態」と定義。進行すると要介護となるリスクが高く、「ロコモの段階で医療が介入するなど適切に対応することが重要」とした。また、ロコモが増加している背景には、生活様式の洋式化が考えられると指摘。筋力を使う機会が減った結果、基礎体力が低くなったとの見解を示した。その上で、男女ともに40歳以後は体力が落ちていくとし、その対策として運動の必要性に言及。日常生活の中で、▽早足で歩く▽なるべく階段を利用する――などを促した。

ロコモから寝たきりに悪循環を断ち切る

 続いて、要支援・要介護状態に至る流れとして、加齢による関節可動域の制限や柔軟性の低下から痛みが生じるなど運動器疾患の悪化を指摘。筋力・バランス力の低下と相まって寝たきりにつながるとした。そして、悪循環を断ち切るための前段階として、7つのロコチェックにより、「まずは、患者自身が気付くことが大切」と強調。あわせて、ロコモ度テストとして「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」を説明し、トレーニングの有効性に触れた。

正しい姿勢でロコトレ元気に歩ける体づくり

 研修では、「ロコモを防ぐ運動」としてロコモーショントレーニングが推奨され、講師の指導下で聴講者が体験。「効果を高めるため正しい姿勢を」との掛け声で、スクワット、片脚立ち、ヒールレイズ、フロントランジに取り組み、汗を流した。また、足踏みをしながら国名や歴代総理大臣を順番に言い合うなど、「筋持久力」と「脳トレ」をあわせたユニークな運動指導も伝達。診療の場で単にウォーキングを勧めるだけではなく、「ロコトレや脳トレを続けたいと思えるような指導を心がけてほしい」と促した。