TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

豊中市医師会在宅医療講演会

府医ニュース

2019年8月28日 第2902号

「人生会議 ――あなたらしい最期に」

 地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療の在り方を市民の方々に広く理解していただくために毎年開催している豊中市医師会主催の在宅医療講演会。22回目となる今回は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の啓発に主眼を置いた。
 本会の在宅医療・介護コーディネータ、松本康代氏の司会進行で開会。冒頭、地嵜剛史会長が超高齢社会を俯瞰してあいさつ。
 続いて、本会小林隆一座長の下行われた、浜渦辰二氏(大阪大学名誉教授、招聘教授)による90分余りの講演は、研究分野である哲学を基盤に、人生の最終段階の在り方ないしその意思決定・支援について、理論的かつ平易に、実例を交えながら進められた。国や関係団体の取り組みならびに意識の変遷を事例や背景・課題とともに示され、自己決定権や本人・家族の意思表示といった一方向性にとどまらず、複数の医療・介護関係者を交えた双方向性の意思確認・話し合いといったプロセスが重要になってきている。その牽引は医療・介護者が担うことが適当と考えられる一方、その適切な時期はいつか、誘導といった作為が入らないかなどといった課題も残ると指摘。安楽死や尊厳死といった話題にも言及され、最期の選択の複合的な環境についても理解が進む機会となった。
 前防昭男・本会副会長の閉会あいさつで締められた今回の参加者数は、医師24名、医療介護関係者45名を含む174名であった。次回、令和2年6月6日は、安楽死・ホスピス等を題材にACPを更に掘り下げて開催する予定である。
報告
 天羽康雄(豊中市)