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医師・医療関係者のみなさまへ

第42回性教育指導セミナー全国大会

府医ニュース

2019年8月28日 第2902号

十代の性をまもり育てる

 日本産婦人科医会(木下勝之会長)では、7月28日、大阪国際交流センターで第42回性教育指導セミナー全国大会(大会長=志村研太郎・大阪産婦人科医会長)を開催し、医療関係者・学校関係者など約1千人が参加。「十代の性をまもり育てる」をメインテーマとし、基調講演「十代におけるリプロダクティブヘルス・ライツの実践――性的人権をまもり、性的自己決定の力を育てる」、教育講演「Sexual and Reproductive Health/Rights(リプロダクティブヘルス・ライツ)の概念と人工妊娠中絶の考え方」、ランチョンセミナー「ひとごとではない性感染症――医療現場の実際」、シンポジウム「十代の性をまもり育てる――気づく、よりそう、育てる、向き合う」が午前・午後にわたって行われた。
 開会にあたりあいさつを述べた志村大会長は、大阪においては長年にわたり中学・高校への出前授業として性の健康教育に取り組んできたことを紹介。また、近年、若者を取り巻く性についての環境が大きく変化しているとし、SNSなどを通じた歪んだ性知識を問題視した上で、若者のリプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の確立に向けたヒントを得られればと期待を寄せた。
 続いてあいさつした木下日産婦会長は、性教育において家庭の担う役割の重要性を強調。また、知的教育だけではなく、IQでは測れない忍耐強さや実行能力、更には自己抑制力を鍛えることが重要との見解を示した。
 来賓として祝辞を述べた茂松茂人・大阪府医師会長は、現在の医療を取り巻く厳しい環境に言及した上で、高齢者への施策だけでなく、国の将来を支える子どもや若者への取り組みも重要と指摘。昨年12月に成立した成育基本法について、大変喜ばしいとする一方、基本理念が法律で定められたものの具体策が今後の議論に委ねられるため、政府が実効性のある施策を確実に実現するよう求めていくとした。更に、性教育について、海外に比べての日本の遅れや、SNS等の普及による弊害など、多くの課題があると指摘。その克服には、産婦人科医会をはじめ、地域、医療従事者、教育関係者、保護者など多職種の協働が必要不可欠であると訴えた。
 その他、吉村洋文・大阪府知事(藤井睦子・大阪府健康医療部長代読)、酒井隆行・大阪府教育委員会教育長からも祝辞が述べられた。