TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

府医ニュース

2019年8月21日 第2901号

日医ジュニア・ドクターズ・ネットワーク 柴田氏が若手医師の立場から医師の働き方改革について講演

 大阪府医師会勤務医部会では、毎月2回、常任委員会を開催し、勤務医を取り巻く諸問題について協議を行っている。7月9日に開催された同常任委員会後には、日本医師会ジュニア・ドクターズ・ネットワーク役員である柴田綾子氏(淀川キリスト教病院産婦人科副医長)が「若手医師が考える現場からの働き方改革」をテーマに「あなたの職場の残業を減らす10の方法」と題して講演を行った。
 冒頭、星賀正明・同部会副部会長(府医理事)はあいさつで、医師の働き方改革の議論が進んでいるが、若手医師がどのように感じているか生の声を聞き、本部会の活動に反映させていきたいと述べた。
 講演で柴田氏は、働き方改革によって時間外労働の上限が定められたことにより、残業時間の短縮への取り組みが必須であると前置き。その上で、自身の職場で実践している残業対策として、①明日からできる残業対策(▽病状説明の時間の提示▽時間外に主治医を呼び出さない▽情報共有ツールの導入)、②効果の高い残業対策(▽カンファレンスを労働時間内に▽主治医制の撤廃▽当直明けの半休)、③働きやすくなる残業対策(当直帯の申し送り▽医療事務・アシスタントの導入▽平日の有休導入)――を提示し、それぞれ詳述した。柴田氏は、「間違った思い込みを捨てること」が最も重要であるとして、「残業は必要悪である」「全員が同じように働かなければならない」などの意識を変えていくことが必要だと締めくくった。
 講演後には、院内の他科の状況や緊急手術時の応援体制、制度導入に至る経緯や苦労した点などについて活発な意見交換がなされるとともに、講演の内容を職場に持ち帰り、改革を進めたいとの声が挙がった。また柴田氏は、主にパスを管理しやすい産科症例ではチーム性が機能しやすいが、個別対応を要するような婦人科がん症例は主治医制を一部残した運用となっていると言及。主治医制を撤廃したことによる患者への対応については、「外来時から説明を行っている」との見解を示すも、一方で「患者に十分な説明が徹底されておらず、当番医による場当たり的な対応が医療不信につながるケースも散見する」として、患者への十分な周知と最終責任者の監督を行き渡らせることが今後の課題であると語った。