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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府警察医会総会・学術講演会

府医ニュース

2019年8月21日 第2901号

超高齢化に対応した体制整備を

 大阪府警察医会(竹中秀裕会長)は、令和元年度通常総会・学術講演会を7月6日午後、大阪市内のホテルで開催した。
 総会ではまず、平成30年度会務報告および歳入歳出決算報告が行われた。続いての協議では、事務所移転に関する件につき、竹中会長が移転に至る経緯などを説明。意見交換の後、賛成多数で承認された。その他、令和元年度事業計画案および予算案が承認された。
 学術講演会では、はじめに石田昭夫氏(大阪府健康医療部保健医療室参事)が、「大阪府内における死因調査体制整備の取り組み」と題して講演。超高齢化に対応した、正確かつ適切な死因を特定する体制整備に着手するとともに、大阪市内と市外で対応が異なる検案体制の均てん化を目指して再構築するとの方向性を解説した。また、大阪府における主な取り組みとして、①医師向け研修②死亡時画像診断(CT)の導入③府域検案体制モデル事業④府民への啓発――を列挙し、それぞれの内容を説明。最後に、多死高齢社会を乗り越えるため、死因調査の取り組みに協力願いたいと呼びかけた。
 続いて、花岡洋一氏(奥羽大学歯学部法歯学教授)が「法歯学――歯科界の新たな役割」をテーマに講演。法歯学の概要を解説した後、東日本大震災における犠牲者の個人識別について、自身の活動状況を交えながら、具体例を挙げて説明。その上で、歯は人体の中で最も硬い組織である(安定性)、同じ歯科的所見を持つ人はいない(固有性)、ほとんどの人が歯科医院を受診している(記録の保存性)として、歯科所見の有用性を力説した。また、歯科的個人識別とDNA鑑定それぞれの利点および欠点を説明し、両者を併用するべきと強調。更に、こうした歯科的個人識別や、口腔領域を中心とした健康管理に加えて、虐待防止が歯科界の役割として今後一層求められると締めくくった。