TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.57

府医ニュース

2019年7月3日 第2897号

病児保育について
文 青山 さつき(寝屋川市)

 「働き方改革」の波が医療現場にも押し寄せている昨今、特に若い世代で3割以上を占める女性医師に対しての就業支援が、男女を問わず医師全体の労働環境の改善へとつながると考えられる。平成21~28年の間に行った会員意見調査(いずれも病院長回答)において「病院における女性医師への勤務支援策」では〝病児保育と長時間保育制度〟はいずれの回でも〝育児休暇〟〝フレックスタイム勤務〟等に続き上位にランクされる項目であるものの、「院内での病児保育の受け入れ可能」はどの回でも20%に満たない。更にその中で「院内での病児保育の受け入れ体制」が〝24時間体制で受け入れ可能〟なのは46.9%(H21)、38.6%(H23)、42.9%(H25)、30.6%(H28)と経年で悪化しているのが実情である。
 国は病児保育施設整備等に対して補助制度を推進しており、大阪府においても「病院内保育所運営費補助金」を活用して、医療機関に勤務する女性医師、看護職員などが利用できる施設の取り組みを支援している。しかし病児保育は、利用者数の季節変動や当日のキャンセルの多さ、また看護師や保育士の人員確保困難などによる赤字経営が深刻であるというように、まだまだ課題は多い。個人が気力・体力ともにギリギリで仕事と子育てに頑張ることはもはや限界であり、更なる公的な補助とともに保育と医療の連携の仕組みをより強化していくことが今後の支援として望まれるところである。