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時事

薬局の機能強化策

府医ニュース

2019年7月3日 第2897号

医薬品医療機器等法の改正案を提出

 厚生労働省は現在、国会に医薬品医療機器等法の改正案を提出しているが、その中に薬局の機能強化等を盛り込んだ。平成30年4月以降、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」)の施行状況に加え、人口構成の変化や技術革新の進展などの環境変化を踏まえ、薬機法見直しの検討を中心に、医薬品・医療機器等を取り巻く現状や課題について10回にわたって議論を行い、特に法改正などの制度改正が必要と考えられる事項を中心にとりまとめた。なお、薬剤師・薬局のあり方、医薬分業のあり方については、その結果を「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」として取りまとめた。
 今後、地域包括ケアシステムの構築が進む中で、薬剤師・薬局がその役割を果たすためには、医師をはじめとする他の職種や医療機関等の関係機関と情報共有しながら連携して、患者に対して一元的・継続的な薬物療法を提供することが重要である。そのためには、薬剤師は調剤時のみならず医薬品の服用期間を通じて、服薬状況の把握による薬学的管理を継続的に実施し、必要に応じて、患者に対する情報提供や薬学的知見に基づく指導を行うほか、それらの情報を、かかりつけ医・かかりつけ歯科医に提供することはもちろん、他の職種や関連機関と共有することが更に必要となる。また、適切な薬学的管理を行い、必要な受診勧奨につなげるため、要指導医薬品、一般用医薬品、いわゆる「健康食品」等の使用状況等を把握することも重要である。
 薬局は、従事する薬剤師が以上のような役割を十分に果たせるような環境を整備する必要がある。また、今後、在宅医療の需要が増大することが見込まれるほか、がんの薬物療法に関して、経口薬が増加して外来で処方される機会が多くなっているなど、専門性が高い薬学的管理が継続的に必要となる薬物療法が提供される機会が増加しており、患者が自身に適した機能を有する薬局を選択できるようにすることが重要であり、そのための環境を整えるべきである。
 患者の薬物療法を支援するために必要な取り組みとして、薬剤師には、調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化すべきである。また、上記により把握した患者の服薬状況等の情報や実施した指導等の内容について記録することを義務付けるべきである。更に、薬剤師は把握した患者の服薬状況等に関する情報について、医療機関・薬局において、診療または調剤に従事する医師、歯科医師、薬剤師へ適切な頻度で提供するように努めるべきことを明確化すべきである。
 以上の方針の結果、薬局の構造転換や再編が進むと考えられるが、医療機関と医師も薬局・薬剤師と今以上に連携していくことが必要となる。
(中)