TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

東成区医師会特別講演会・懇親会

府医ニュース

2019年6月26日 第2896号

多職種連携の要に

 東成区医師会(長田栄一会長)は6月8日午後、同医師会館において定時総会を開催後、会場を大阪市内のホテルに移して特別講演会および懇親会を開催。会員やその家族など約80人が参集した。
 特別講演会では、高橋政代氏(理化学研究所生命機能科学研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダー)が「再生医療のその先へ」と題して講演。再生医療は身近なものになってきているが、その中身は玉石混交であり、業者に騙されて医師が逮捕される例もあると注意を呼びかけた。また、再生医療にかかる費用に触れる中で、海外の企業が大きな利益を上げているとし、再生医療がビジネスの戦いになってきていると指摘。少しでも日本の製品が使用されるようにすべきと訴えた。続いて、RPE移植や視細胞移植などについて解説し、採算から考える企業と、治療から考える医師の方向性の違いを説明。患者のための安全で有効な治療が採算を取れるようにルールを変えていく必要があるとした。更に、公益社団法人NEXT VISIONが行う「isee!(アイシー)運動」を紹介。同法人の活動への理解と協力を呼びかけた。
 懇親会であいさつを行った長田会長は、医療を取り巻く情勢に触れる中で、これまでの一元的な対応から、個人の価値観に即した多元的な対応が求められていると指摘。かかりつけ医として地域包括ケアシステムに関わり、健康寿命の延伸に努めたいとした上で、患者の目線に立ち多職種連携の要として会務にあたるとの決意を示した。また、会員に対しては、相互の絆を深めて心の癒し、心の拠り所となる医師会でありたいと抱負を語った。
 来賓としてあいさつした茂松茂人・大阪府医師会長は、現在の国際情勢や我が国の政治情勢を解説する中で、国民は不安を抱えて生活しており、社会保障を充実させることが必要との見解を表明。再生医療などの分野で医療が進歩していく一方、医療費の抑制が行われている現状を問題視した。また、地域医療構想、医師遍在対策、医師の働き方改革などの議論が進められる中で、医師の管理統制が図られるとともに、国民負担が増加していく状況を危惧。国民と情報を共有しながら対応していかねばならないと訴えた。