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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府女医会 第11回総会・講演会

府医ニュース

2019年6月26日 第2896号

大阪府女医会は第11回総会を6月16日午後、大阪市内のホテルで開催。また、総会に続いて講演会・懇親会が行われ、講演会では約80人の会員・関係者が聴講した。

医師確保計画の地域医療への弊害を憂慮

 総会ではまず、杉本睦子会長があいさつに立ち、女性医師がますます活躍できるように環境を改善し、また、長年の懸案であった会費の見直しを行い、会費徴収システムが整ったことを報告。これを機会に会員の増強に努めていきたいと訴えた。その後、議長・副議長選出に続いて、平成30年度事業報告承認の件、同年度収支決算及び監査報告承認の件、令和元年度事業計画決定の件、同年度予算決定の件、理事(増員)選任の件、評議員(増員)選任の件が上程され、いずれも承認された。

アトピー性皮膚炎の最新治療を解説

 講演会ではまず、菅原弘二氏(大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学准教授)が「アトピー性皮膚炎に対する最新治療について」と題して講演し、アトピー性皮膚炎の定義や診断基準、合併症、治療などを解説。アトピー性皮膚炎を対象とした治験薬として生物学的製剤の紹介などを行った。その他、教育入院の利点を強調。仕事や学校のストレスから一時的に解放され精神的にリセットされることなどを挙げた。

茂松会長が最近の医療情勢について講演
国民の思いに沿った社会保障の構築を

 「最近の医療情勢――医師の働き方改革、医療保険制度関連法案、医療法及び医師法改正案について」と題して講演した茂松茂人・大阪府医師会長は冒頭、医療を取り巻く状況が非常に厳しく、医師を管理・統制する傾向が強まってきていると懸念を示した。また、国で進められている様々な議論は、医療がサービス業であるとの考えの下に進められているとして、その危険性を指摘。医療の本来在るべき姿を国民とともに訴えていかねばならないとした。
 続いて、医師の働き方改革について関連法案の概要などを説明する中で、自己研鑚や宿日直、オンコール待機などの医療の特殊性を取り上げ、単純に労働時間で割り切れるものではないとした。更に、医師の働き方改革においては、地域医療の継続性と医師の健康への配慮を両立させることが重要と力説。国民の思いに沿った形で社会保障を構築していく必要があるとした。
 その後、オンライン資格確認、NDB・介護DBの連結解析、審査支払機関の機能強化などについて解説するとともに、医師確保計画策定ガイドラインに言及。ガイドラインで示されている医師偏在指標について、「人口10万人当たりの医師数の平均値からの乖離を示しただけ」「平均値の医師数で地域医療が賄えるのかという検討・検証は全くなされていない」などと指摘し、地域医療への弊害を憂慮した。更に、外来医療機能の偏在対策に触れ、都市部の外来規制という名目で「保険医登録に際してのハードル作りへの足がかりとするのではないか」と危惧。既に専門医における都道府県別の医師数規制が開始されようとしているとし、こうした国の動きに対して医師会の主張を通すには政治力が必要と締めくくった。