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医師・医療関係者のみなさまへ

第1回周産期医療研修会

府医ニュース

2019年6月5日 第2894号

子どもの健康と環境因子の相関を調査

 令和元年度第1回周産期医療研修会が5月18日午後、府医会館で開催され、「子どもの健康と環境に関する全国調査・エコロジー&チルドレン――エコチル調査からわかってきたこと」をテーマに、医療関係者約100人が受講した。
 開会にあたり、笠原幹司理事があいさつ。大阪府における周産期緊急医療体制への理解・協力に謝意を述べるとともに、本研修会が周産期医療の更なる充実へつながればと期待を寄せた。
 和田和子氏(大阪母子医療センター新生児科主任部長)および笠松敦氏(関西医科大学附属病院産科助教)が座長を務め、池原賢代氏(大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学特任准教授)が「エコチル調査のこれまでとこれから」と題して講演を行った。池原氏はまず、国内外の文献や統計調査によって、小児の喘息や肥満が増加していることに加え、都市部で男児の出生率低下などの傾向が見られることを背景に、「胎児期から小児期にかけての化学物質曝露をはじめとする環境因子が、子どもの健康に影響を与えているのではないか」という仮説からエコチル調査が始まったと説明。環境要因の解明によって「次世代の子どもが健やかに育つ環境の実現」「子どもの脆弱性を考慮したリスク管理体制の構築」などが成果として期待されるとした。また、全国約10万組の親子による協力の下、生まれた子どもが13歳になるまで追跡調査を進める計画で、調査対象のうち、最年長の子どもは小学2年生になっていると報告。あわせて、妊娠中の喫煙により出生体重が減少する傾向にある等のデータを示した。
 次に、崔美善氏(大阪大学医学部大阪ユニットセンター特任研究員)が「エコチル調査でわかってきたこと――大阪ユニット」と題し、大阪ユニットセンターのエコチル調査で得た集計データを報告。4歳6カ月時点の食生活に関して「主食のある朝ごはんを食べた頻度」が週4日未満と回答した者が全体の6%と示した上で、そのうち1%は毎日朝食を欠食しているとし、親の食習慣と子どもの成長や発育の関わりを推測した。食物アレルギーについては、鶏卵が最も多く症状が認められ、全体の6%を占めた。アトピー性皮膚炎を持つ子どもの割合は4歳時点で15%、喘息の割合は9.7%であった。また、母親の産後うつに関し、パートナーの育児参加の程度が高ければ、リスクが有意に軽減できると示した。