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時事

健保組合の予算早期集計結果等を発表

府医ニュース

2019年6月5日 第2894号

2022年危機への対応急務との見解

 健康保険組合連合会は2019年度における健保組合の財政状況等を早期に把握するため、今年度予算データの報告があった1367組合の数値を基に、4月1日現在存在する1388組合ベースの2019年度予算状況を推計し、前年度予算と比較した結果をまとめて、4月22日に発表した。経常収支は収入8兆2315億円、支出8兆3301億円で、986億円の赤字予算となる見込みである。経常収入は前年度に比べ74億円、0.09%増加、経常支出は296億円、0.35%の減少となる。
 前年度予算に比べ赤字額は371億円減少する。収入面では前年度と比較して、保険料収入が74億円、0.09%増加する。大規模組合等の解散により被保険者数が大幅に減少したが、平均標準報酬月額および平均標準賞与額がそれぞれ1.66%、3.91%上昇し、平均保険料率が0.011ポイント増加した。一方、支出面でも解散組合の影響を受け、拠出金が525億円、1.50%の減となった。法定給付費は57億円、0.14%増、保健事業費は135億円、3.30%の増で、支出全体では296億円、0.35%の減少となる。
 赤字組合は5組合減の856組合で、6割超の組合が赤字の状況である。3月1日現在の平均保険料率は9.218%で、前年度比0.011ポイント増加し、その上昇は12年連続である。料率を引き上げた組合は106組合で、平均引き上げ料率は0.571%で、料率を引き下げた組合は120組合で、平均引き下げ料率は0.335%である。なお、協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の組合は302組合と、回答組合の22.1%であり、大阪府の協会けんぽの保険料率10.19%との比較も必要である。
 高齢者医療への拠出金は、前年度比525億円(1.50%)減の3兆4435億円で、後期高齢者支援金は1兆9822億円(前年度比4.03%増)、前期高齢者納付金は1兆4589億円(同5.79%減)、退職者給付拠出金は22億円(同94.72%減)となった。
 後期高齢者の伸びが一時的に鈍化する2021年までの間は、健保組合財政は高止まりの状態で急激には悪化しないものと見込まれる。しかし、2022年以降は団塊世代の後期高齢者入りと現役世代の減少に伴い拠出金負担が急増し、保険料率の大幅な引き上げを余儀なくされ、解散のリスクがより一層高まるとし、「2022年危機」への対応が急務との見解を示した。2022年度の健保連試算は高齢者医療への拠出金額3兆9343億円、義務的経費に占める拠出金の割合は49.6%(50%以上は733組)、平均保険料率9.8%(10%以上は601組合)、介護保険料率2.0%であり、政府は早急に高齢者医療費の負担構造改革等に取り組むべきであると訴えている。そして、健保組合、健保連は「2022年危機」を乗り切るため、2つのプロジェクトチームを常任理事会のもとに設置するなど、体制の強化を図ったところである。政府が来年策定する「骨太の方針2020」に主張を確実に織り込むため、組織をあげて政策実現活動にあたり、国・政府・世論などへの働きかけに注力・邁進していく所存とのことである。医師会も、「2022年危機」を見据えた政策提言をすべきである。
(中)