TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

大精診 法人設立20周年・創立50年

府医ニュース

2019年5月29日 第2893号

勤労者のメンタルヘルス対策を推進

 大阪精神科診療所協会(堤俊仁会長)は4月20日午後、大阪市内のホテルにおいて法人設立20周年・創立50年記念講演会・式典・祝賀会を挙行。会員・来賓など合わせて約130人が集い、盛大な祝宴が開催された。
 まず、記念講演会が開かれ、最初に渡辺洋一郎氏(メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック名誉院長)が「精神科医療の新たな方向性――職場における一次予防としてのメンタルヘルス」と題して講演。精神科クリニックの歴史を振り返った後、精神科医療の新たな方向性として、職場における一次予防としてのメンタルヘルスを挙げた。また、一人ひとりを大切にすることが根幹であるとした上で、「人のwell-beingに寄与する精神科医療」を新たな期待として掲げた。
 続いて、井原裕氏(獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科教授)が「職場メンタルヘルスへの診断書による介入――休職させないうつ病治療」と題して講演。自殺・うつによる経済的損益に関するデータや、うつ病で病気休暇を取った社員の約半数が復帰後に再取得している現状を説明。長期休職のデメリットに気付くことなどが今後求められるとし、「働きながら治す」への発想の転換を求めた。
 次に式典が開催され、堤会長があいさつ。同協会の歴史を振り返った後、現在は勤労者・妊産婦・自殺など社会の様々な場面で精神科医の活躍が求められていると解説。郡市区等医師会・保健所・保健福祉センターとの連携に関し、若い世代に次の時代を担っていただきたいと期待を寄せた。また、これまで重要課題であった統合失調症に加えて、うつ病や適応障害などの「働く人の中にある病気」が大きな課題になっているとし、真摯に向き合っていかなければならないと言及。公益社団法人として精神科救急や会員向けの学術研修会に今後も取り組んでいくと力強く語った。
 祝賀会で来賓祝辞を述べた茂松茂人・大阪府医師会長はまず、同協会が地域医療に尽力するとともに会員の資質向上に寄与してきたことに敬意を表した。次に、医療を取り巻く状況について、「骨太の方針2019」に関する議論が進められている現状などを解説。国民が十分な医療を受けられる環境が構築されるよう邁進するとして一層の協力を求めた。