TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における個別疾患研修会

府医ニュース

2019年4月3日 第2888号

ACPについて検討

 在宅医療における個別疾患研修会は、平成30年度大阪府在宅医療総合支援事業として、1月28日は「心不全」、2月15日には「呼吸不全」をテーマに実施。第3回研修会では「ACP(アドバンス・ケア・プランニング/愛称:人生会議)」を取り上げ、3月9日午後、大阪府医師会館で開催された。当日は、医師や医療関係者ら約100人が出席した。
 座長は辻正純氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が務めた。開会にあたり、中尾正俊副会長があいさつ。人生の最終段階については、症状がある程度安定している時点から、本人・家族や医療・介護関係者で話し合うことが大切とした。府医では今後もACPに関する研修を継続する方針であると述べ、更に研鑚を積んでほしいと呼びかけた。
 続いて、池永昌之氏(淀川キリスト教病院緩和医療内科・ホスピス主任部長)の進行により、「人生の最終段階を在宅で支えるための意思決定支援――ACPの基本的な考え方」と題して、濱吉美穂氏(佛教大学保健医療技術学部看護学科准教授)が講演を行った。地域包括ケアシステムの推進に向けて、「本人の選択と本人・家族の心構え」の支援が重要と強調。昨年3月に改訂された厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン改訂版」では、ACPの概念が盛り込まれ、医療・介護現場での普及を目的に文言が追加されたと紹介した。その上で、ACPのプロセスや実践にあたっての基本姿勢のほか、留意点などを丁寧に説明。本人の意思決定が難しい場合、「もしも」と仮定した文言を織り交ぜ、家族の意向を尋ねるようにしてほしいと助言した。
 その後、濱吉氏が作成に携わった「わたしのいき方手帳」を基に、出席者がそれぞれ自身の生き方を考える機会を持った。更に、「慢性呼吸器疾患患者のエンドオブライフ期」として、事例検討を実施。「どのような対応が必要か」「今後について、いつ頃からどのような事柄を話し合っておくか」など、自身の意見を踏まえてグループ討議を行った。総括で池永氏は、「当事者に最大の関心を持ち、最後まで『生きる』ことを考えるACPであるべき」と言及。濱吉氏も、人生観を重視してほしいとまとめた。