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医師・医療関係者のみなさまへ

学校感染症講習会

府医ニュース

2019年4月3日 第2888号

正しい知識で感染症拡大防止

 大阪府医師会学校医部会は3月8日午後、府医会館で「平成30年度学校感染症講習会」を開催。学校医のほか養護教諭ら学校関係者約250人が参加した。
 司会進行を白阪琢磨氏(府医学校医部会学校感染症対策委員会委員長)が務め、森口久子・同部会副部会長(府医理事)があいさつ。インフルエンザの流行が収束を迎える一方、大阪府の麻しん・風しん患者が依然として増加傾向であると指摘。また、学校現場で急増している性感染症にも焦点を当て、本講習会が学校現場の感染症対策の一助になればと期待を寄せた。
 はじめに、「学校における感染症とその対策」として、安井良則氏(同委員会委員/大阪府済生会中津病院感染管理室長)がインフルエンザおよび麻しんの症状・感染経路とその対策について詳説した。特に麻しんに関し、「ワクチン定期接種の対象ではない0歳児や、接種が間に合わなかった1歳児などで多数の罹患者を認めるような事態を招いてはいけない」と強調。就職や学校の始業などで人の往来が活発な時期を迎える前に、ワクチン接種を含む対策強化が必要であるとした。
 続いて、「子宮頸がんとHPVワクチン」と題し、上田豊氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講師)がHPVワクチンの有効性に関するデータを解説。その有意な予防効果や、未接種者についても感染が有意に減少する「集団免疫効果」を報告した。ワクチン接種に積極的なオーストラリアでは、子宮頸がんは根絶に近いとされる一方で、日本の接種率の低さに言及。ワクチン接種の速やかな勧奨再開と接種機会が必要とし、HPVワクチンに対するネガティブな情報を改めていくことが課題と述べた。
 最後に、「若年層に広がるSTDと急増している梅毒」と題して、岩佐厚氏(同委員会委員/岩佐クリニック院長)が講演。主要な性感染症の症状およびその動向に触れ、無症候感染者によるキャリアの拡大・薬剤耐性菌・混合感染などの問題を指摘した。あわせて、梅毒の報告数が急増していると述べ、アジアからのインバウンドの影響も要因と推測した。改めて学校教育の重要性を説くとともに、「自分だけは大丈夫」という意識から脱却すべきと締めくくった。