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医師・医療関係者のみなさまへ

布施緩和ケア研修会総会

府医ニュース

2019年4月3日 第2888号

尊厳を守るためのケアを考える

 布施医師会(松山浩吉会長)は3月2日午後、大阪市内のホテルで「第16回布施緩和ケア研修会総会」を開催し、125人が参加した。今回は、「苦しむ人にあなたは何ができますか――ホスピスケアから学ぶ、関わり方のヒント」をテーマに、千田恵子氏(エンドオブライフ・ケア協会事務局長)を講師に迎え、ワークショップおよびシンポジウムを行った。
 冒頭、柏井朗・布施医師会副会長があいさつ。多死社会を迎える中で、人生の最終段階に対応できる人材の育成や、緩和ケアのスキルアップに努める必要があると述べ、本研修会がその一助になればと期待を寄せた。
 第1部では、「ディグニティセラピー――尊厳を守る援助」と題して、ワークショップを実施した。千田氏は、人生の最終段階にある患者の尊厳(dignity)を維持することを目的とする精神療法的アプローチのひとつとして、「ディグニティセラピー」を紹介。加齢に伴い様々な喪失を経験する患者の尊厳を守るために、どのようなケアを行うべきかを考察した。第2部のシンポジウムでは、川邉綾香氏(かわべクリニック)、北村愛美氏(訪問看護ステーションリール)、松本静香氏(八尾徳洲会総合病院)、柿本朋子氏(ケアプランセンターmey)の4氏が、訪問看護師やケアマネジャーの視点から意見を交わした。「たとえ明日お迎えがきたとしても一人の人間として尊厳を守るために私たちにできること」をテーマに、それぞれが患者とのエピソードを語り、患者と接する際に「大切にしている思い」などを改めて確認した。
 最後に、松山会長は閉会あいさつで、患者だけでなく、周りで支える人も自分を大切にしながら取り組んでほしいと語った。