TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.53

府医ニュース

2019年3月6日 第2885号

人生の最終段階における医療に関する府民アンケート③
――府民の4人中3人は尊厳死を容認
鈴木 隆一郎

 本紙2876号に続き、人生の最終段階における医療に関する府民アンケート(平成30年1月実施)を取り上げます。今回注目すべき結果は、「尊厳死」を「認めるべき」と回答した府民が全体の75.5%にも達していたことです。この質問には、尊厳死について「延命治療をせず、自然死を迎えること」との注を付けました。質問と、年齢階層別の回答結果とを図示しました。年齢を問わず「認めるべき」が圧倒的に多数派です。尊厳死を「認めない」と回答した府民は、どの年齢層でもわずかですが、全体としては3.1%です。
 そういえば、延命治療についても、「希望する」との少数派が5.3%存在していました。少数派ではあるが、延命治療を希望する考えもあり、人生の最終段階における医療が画一的にいかない困難さがあります。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が大切とされるゆえんです。しかし、当調査で「ACPをご存じですか」と質問したところ、「知っている」2.6%、「聞いたことがある」8.9%、「よく知らない」19.9%、「知らない」68.6%という結果でした。三語構成の英語そのままですので、府民のこの反応は当然とも思われます。この報告を執筆中の30年11月30日、ACPの愛称を「人生会議」とすることを、厚生労働省のACP愛称選定委員会が公表しました。さてこれで、ACPについての府民の認知度が急速に高まると良いのですが。