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医師・医療関係者のみなさまへ

鶴見区医師会が講演会

府医ニュース

2019年2月27日 第2884号

区民へ認知症の理解呼びかけ

 鶴見区医師会(高山進会長)は2月9日午後、「区民で支えよう認知症」を同区民センターで開催。200人を超える参加者が熱心に聴講した。
 開会あいさつで高山会長は、区内の各地域でも講演会や徘徊模擬訓練を学ぶ機会が増えるなど、認知症への関心や理解が深まっていることを評価した。認知症について知ることは、家族や地域だけでなく、自身のためにもなると言及。尊厳をもって暮らし続ける社会を築いていきたいと語った。
 講演では、河野隆一・大阪府済生会野江病院(大阪市認知症疾患医療センター連携型)脳神経内科副部長が、「認知症の症状はなぜ起こるのか――メカニズムを知って工夫しよう」をテーマに登壇した。認知症の原因疾患のうち、アルツハイマー病を中心に解説。記憶障害のほか、意欲の低下や些細なことで興奮するなどの性格の変化、空間認識障害や徘徊など日常生活への支障、言語障害といった症状が徐々に悪化していくとした。記憶については、神経細胞同士がつながったネットワークで保持されると説明。しかし、アルツハイマー病の初期では、アミロイドの蓄積で神経細胞間をつなぐシナプスが障害され、やがて神経細胞が脱落し、記憶が抜け落ちると述べた。一方、加齢により正常でもアミロイドが蓄積し、神経細胞の働きも低下するが、アルツハイマー病では神経細胞そのものの数が減少すると指摘。記憶力の低下や判断力、遂行能力、言語能力、注意力が障害された状態になるとした。治療法では、薬物療法・非薬物療法に分けて詳述。予防にあたっては生活習慣病の対策が重要であり、体と脳の活性化に努めてほしいと促した。

寸劇で啓発

 その後、「認知症の方への接し方」として、事例と対応を寸劇で提示。「無理に責めず落ち着いてもらう」「本人の気持ちになって考える」「声をかけて一緒に行動する」――などを助言した。最後に、同区認知症初期集中支援推進事業(つるりっぷオレンジチーム)の活動を紹介。認知症の早期発見・早期診断、適切な医療や介護サービスへの支援につなげるため、改めて区民の協力を呼びかけた。