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時の話題

医師の時間外労働規制の在り方

府医ニュース

2019年2月20日 第2883号

検討会「とりまとめ骨子案」から

 厚生労働省は1月21日、「第17回医師の働き方改革に関する検討会」を開催。2024年4月からの医師の時間外労働の上限規制時間数や、導入する健康確保策、医療現場における改革などについて議論した。検討会では、厚労省から「地域医療の確保に必要な医療機関は35年度末までの特例として『年1900~2000時間程度以内』を時間外労働の上限にする」との提案が出された。24年度からの新制度では、基本的には時間外上限規制は年間960時間とするが、地域医療を守るため各都道府県が認めた医療機関の医師に関して特例を設けるというものである。
 厚労省案では、A案として、診療従事勤務医に24年度以降運用される水準として、休日労働込みの時間外労働について年960時間以内・月100時間未満とすることが示された。これは脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準を考慮したものである。しかし、24年4月においてすべての診療に従事する勤務医がA案を目指すが、地域医療提供体制の確保の観点からやむを得ずA案の水準を超えざるを得ない場合が想定されるため、対象となる医療機関を限定し、B案として「地域医療確保暫定特例水準」を設ける。
 現在、病院常勤医の勤務時間は、年間1920時間を超える医師が約1割、2880時間を超える医師も約2%存在している。1920時間を超える医師が1人でもいる病院が、全体の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割(救命救急センター機能を有する病院に限っては約8割)という状況を配慮したものである。この場合、個別の状況に応じた健康確保措置として面接指導、結果を踏まえた就業上の措置を実施することによって過労により医師が健康を害することを防止した上で、地域での医療提供体制を確保するという暫定的な特例措置である。
 想定されるケースは、①二次・三次救急医療機関、在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関②政策的に医療の確保が必要であるとして都道府県医療計画において計画的な確保を図っている事業(5疾病・5事業)③特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療機関・医師(例:高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等)――である。
 これらはあくまでも医師の健康確保と地域医療を守るという、ともすれば相反する課題に対する暫定措置である。今後、24年4月までに医師の働き方改革を推進し、A案に収束するような努力が必要である。