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大規模災害時における保健医療活動のマネジメントと

災害時健康危機管理支援チーム「DHEAT」

府医ニュース

2019年2月20日 第2883号

 昨年は自然災害に何度も見舞われた1年であった。特に大阪では6月の地震と9月の台風で大きな被害が発生し、これを機に災害対策を見直す機運が高まっている。
 保健医療分野の災害対策については、平成29年7月に厚生労働省から「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」という通知が出された。被災地の都道府県庁に「保健医療調整本部」を設置して、医師会等の関係機関との連携の下で、情報の共有や分析、支援チームの派遣調整等の保健医療活動の総合調整を行うとともに、地域における総合調整は保健所が担うこととされた。
 また、30年3月には厚労省から「災害時健康危機管理支援チーム活動要領について」という通知が出された。保健医療調整本部や保健所等での活動支援に当たるため、都道府県等は行政医師や保健師等からなる「災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT=ディーヒート)」を編成し、各都道府県自らが被災した際には、自治体内部での相互応援を行うとともに他自治体から支援を受ける受援体制を整備することとなった。
 これらの通知を受けて、大阪府においても災害時に府庁と府内各保健所に保健医療調整本部の設置を検討している。またDHEATについては、大阪北部地震で大阪府から試行的に高槻市保健所の支援を行い、西日本豪雨では国からの要請に基づいて大阪府から岡山県に3班のDHEATを派遣して倉敷市保健所の支援を行った。今後、大阪府としてのDHEATに関する要領等を整備するなど体制の充実強化を進めている。
 大規模な災害が発生した場合は、災害対策基本法等の法令により都道府県や市町村が対策を担うこととされているが、特に保健医療分野のような高度専門的な知識や技術を必要とする活動は、災害拠点病院や医師会をはじめとする関係機関の協力が必要不可欠である。地域防災計画等で各市町村と郡市区医師会の連携が既に定められているが、近年では専門家等から広域調整の重要性が指摘されている。今後は保健医療調整本部やDHEATなどの体制のもとで、都道府県や保健所単位で保健医療活動の総合調整を行う体制の充実強化を進めていくこととなる。各郡市区医師会や地域の医療機関におかれては、災害医療に関する体制整備と研修訓練等への協力をお願いしたいと考えている。
大阪府寝屋川保健所長
宮園 将哉
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