TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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本日休診
府医ニュース
2019年2月6日 第2882号
私が医師になって間もない、出身大学の附属病院で勤務していた頃のことです。
夜間当直していた時、救急搬送されてきた患者さんを附属病院が満床のため転送することになり、私が救急車に同乗して行ったことがありました。確か患者さんは高齢で、意識がなかったと思います。どれぐらい走ったのか覚えていませんが、無事、先方の病院に転送し終わった頃は深夜になっていました。病院の周囲は田んぼだったようで、真っ暗でした。
帰り際に、救急隊員が病院の前の自動販売機で自分達の飲み物を買うついでに、私にも缶コーヒーを1本買って渡してくれました。寒い季節で、温かい缶コーヒーでした。帰りはサイレンを消した救急車で、附属病院まで送ってくれました。
当時の私は、救急隊員の目にも若くて頼りなく見えたことでしょう。おそらく不安や緊張でいっぱいだったと思うのですが、不思議とそんなことは覚えていません。ただ、あの夜の暗さと、もらった缶コーヒーが手の中で温かかったことを今も思い出します。
(瞳)