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府医ニュース

2019年2月6日 第2882号

◆厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題から1カ月も経たぬうちに、統計法違反にあたる事案が本稿執筆時点で23にも及ぶことが明らかとなった。基幹統計は56。いずれも国の実態を把握する大前提となるデータである。
◆いつから、何のために不正が行われていたのか? 基幹統計のみならず、233ある一般統計は大丈夫なのか。加工統計や民間統計に与えた甚大な被害等々、まさに箍(たが)が外れた感があり、国への疑念は払拭し難い。
◆昨年10月末には各省庁における障害者雇用水増し問題が発覚し、裁量労働制を論議する上での判断を歪ませるデータの捏造が露呈した。戦後最長の景気拡大、名目GDPの11%上昇。その数字の多くに、国民は疑いの眼差しを向けている。
◆オクスフォード辞典が2016年に選んだ「ポスト真実」。世論形成過程において客観的事実以上に、感情を煽る方が大きな影響力を及ぼすことを示した言葉だ。時代の混迷を抜け出すには、factを重んじ、truthに戻るしかないことを肝に銘じるべきである。(猫)