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時の話題

外来医療機能を可視化

府医ニュース

2019年2月6日 第2882号

二次医療圏ごとに「協議の場」

 昨年7月25日、「医療法及び医師法の一部を改正する法律」が公布され、順次施行されることになった。本改正の趣旨は、地域間の医師偏在の解消等を通じ、地域における医療提供体制を確保するため、都道府県の医療計画における医師の確保に関する事項の策定、臨床研修病院の指定権限及び研修医定員の決定権限の都道府県への移譲等の措置を講ずるものとされている。
 改正の概要は、①医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設②都道府県における医師確保対策の実施体制の強化③医師養成過程を通じた医師確保対策の充実④地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応⑤地域医療構想の達成を図るための医療機関の開設や増床に係る都道府県知事の権限追加、健康保険法等の規定の整備――などである。「地域医療対策協議会」の機能強化など、一部は既に公布日に施行されているが、基本的には4月1日に施行される。
 これまで、地方を中心とした深刻な医師不足対策として、医師の地域・科目間偏在に焦点が当てられ、様々な視点から議論・対策が行われてきた。今回の改正法では、地域間の医師偏在の解消を具現化するために、▽都道府県の医療計画で医師の確保に関する事項を策定▽臨床研修病院の指定権限および研修医定員の決定権限の都道府県への移譲等の措置を講ずる――とされている。更に病院勤務医の偏在のみならず、地域における外来医療機能の偏在・不足等にも対応する事項も盛り込まれた。
 厚生労働省は、昨年12月26日に開催された「第26回医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」において、外来医療機能の可視化に向け地域ごとの人口構成や昼夜間の流出入などを考慮した「外来医療の偏在指標」の作成を提案した。各都道府県がそれに基づき「外来医師多数区域」を設定し、当該区域で新規開業する場合、在宅医療や初期救急医療(特に夜間・休日の診療)、公衆衛生など地域で求められる医療機能を担うように求めた。また、厚労省は、本年度中に「外来医療偏在指標」「外来医師多数区域」の考え方などを盛り込んだガイドラインを策定し、来年度から1年かけて都道府県が外来の医療計画を作成、2020年4月から実施される。地域における外来医療提供体制をどのように構築するかを検討する「協議の場」の設置も了承され、その結果は公表される。また、新規開業に必要な届け出様式には、地域で定める「不足医療機能を担うことに合意する記載欄」を設け、協議の場で確認。地域の協議方針に従わない医療機関がある場合は、都道府県医療審議会に報告して意見聴取する。
 現在、二次医療圏単位で検討されている病床についての調整会議が、今後は外来医療でも行われることになる。国民目線に立った精緻なデータに基づく議論が必要であることは言うまでもない。