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医師・医療関係者のみなさまへ

エイジレス健康講座で前川理事

府医ニュース

2019年2月6日 第2882号

過活動膀胱の治療法など解説

 大阪府医師会は1月19日午後、ATCエイジレスセンター実行委員会との共催による「第136回エイジレス健康講座」を同センターで開催。今回は、「なんや、そうやったんか〝過活動膀胱〟」をテーマとして、前川たかし理事が講演を行い、府民約65人が聴講した。
 前川理事は過活動膀胱の主な症状として頻尿と尿意切迫感を紹介し、膀胱がん、大量の残尿などを除外したのち、過活動膀胱として治療を開始するとした。また、蓄尿・排尿機能は自律神経で支配されているため、身体活動と精神的な安定が治療の基盤として重要であると指摘した。
 治療では、最大限蓄尿してから排尿するよう訓練をした上で、一日分の排尿時刻と量を記録する排尿記録を付けてもらうと説明。排尿記録の実例として、▽大量の飲水で夜間多尿になっている例▽日中の運動不足から不眠となり夜間頻尿になっている例▽本来十分な量の蓄尿が可能なのについトイレに行ってしまう例――を提示し、生活指導の重要性を強調した。薬物療法については、①過去の薬物治療で効果がなかった被検者も参加する新薬の第二相臨床治験でプラセボ群に76%もの効果がある②いったん飲み始めた抗コリン剤の服薬継続率が極めて低い③抗コリン剤の濫用に認知機能の低下のリスクがある――と説示。大多数の患者の蓄尿機能はほぼ正常であり生活指導が主、薬物療法はあくまで従であるという意識を持ってほしいと訴えた。①からは、「臨床試験という空間」の中で症状の変化について詳細なインタビューを受けるだけで好循環に入ることが示唆され、「人間関係の治癒力」を強調。主治医と良好な関係を持つことのみならず家族、友人、介護職などとの心のつながりを大切にしてほしいと結んだ。