TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第3回周産期医療研修会

府医ニュース

2019年2月6日 第2882号

周産期医療体制充実へ
協力を要請

 平成30年度第3回周産期医療研修会(大阪府医師会主催/大阪府委託事業)が12月8日午後、府医会館で開催された。「災害時における周産期医療――大阪北部地震の経験から」をテーマに2題の講演が行われ、約100人が受講した。

 開会あいさつで笠原幹司理事は、大阪における周産期医療体制の一層の充実に向けて、理解と協力を要請した。
 講演では、吉井勝彦氏(愛仁会千船病院長)と吉松淳氏(国立循環器病研究センター周産期・婦人科部長)が座長を務めた。はじめに、「大阪北部地震でOGCSが果たした役割、何ができて何ができなかったのか」と題して、田中和東氏(泉大津市立病院産婦人科部長)が登壇した。大規模災害では広域搬送が難しく、患者のアクセスも制限されるため、二次医療圏を中心とした医療になると示唆。また、30年2月に実施したOGCS加盟病院全体での机上訓練が、実災害での対応に役立ったとした。田中氏は、被災した病院ができることを検討。「人員の安否および確保」「安全確認、物資・インフラの確認」「電話以外の連絡手段の確保」「二次医療圏内の災害拠点病院、周産期医療センターとの連携」――を列挙した。そのほか、災害時小児周産期リエゾンの活動に言及。通信手段の確保とともに、日本産科婦人科学会大規模災害対策情報システムの周知が必要であるとまとめた。

顔の見える関係
災害活動でも

 「大阪北部地震でのNMCSと災害時における周産期医療の取り組み」として、和田和子氏(大阪母子医療センター新生児科主任部長)は、災害時小児周産期リエゾンとしての取り組みを振り返った。「大規模地震時医療活動訓練」(29年7月29日)および「近畿地方DMAT訓練」(30年2月17日)を通じ、顔の見える関係が構築され、活動に生かせたと述べた。また、使い慣れた既存のシステムの活用が有効と語った。更に、NMCS・OGCSや大阪ショートステイ連絡協議会、PICUネットワークなど、平時のネットワークが強固であることも、スムーズな連携につながったとした。一方で、今後の課題に「在宅医療の対応」を挙げ、公的支援の必要性を強調した。

災害時小児周産期
リエゾン

 災害時に小児・周産期医療の情報収集、物資、搬送、人的支援等のコーディネートを担当。災害医療コーディネーターをサポートすることを目的に、都道府県により任命される。