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府医ニュース

2019年1月30日 第2881号

◆日本の元号は、明治以降、一世一元の制がとられているが、江戸時代までは天変地異や戦乱などの凶事を断ち切るために変わることが多かった。
◆宝永は大地震、大噴火の年号として知られるが、実はその前に発生した元禄の大地震により改元された。また、室町幕府管領家の畠山氏の家督争い(御霊合戦)が発生した文正という年号は、縁起が悪いとして応仁に改元された。しかし、その後も戦乱は長期に及ぶことになる。
◆『応仁の乱』の著者、呉座勇一氏は、それを複雑で混沌とした先の見えない現在の世界情勢にもなぞらえている。確かに、世界は自国第一主義に走り、批判合戦を繰り返し、国際秩序、倫理は混乱している。共通の利益を求める各国間の政治と経済の糸は複雑に絡み合い、小競り合いが絶えない。
◆天皇陛下は、昨年のお誕生日の記者会見で、「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています。心に残るのは災害のことです」と語られた。まずは改元のこの年が、安寧でありますように。(誠)