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医師・医療関係者のみなさまへ

平成31年 府医新春互礼会

府医ニュース

2019年1月16日 第2880号

健康弱者の視点から医療施策を提言

 大阪府医師会は1月5日午後、大阪市内のホテルで平成31年府医新春互礼会を挙行。郡市区等医師会長や会員のほか、大阪府選出の国会議員・大阪府議会議員・大阪市会議員、行政関係者・関係団体など500名近い出席者が新年のあいさつを交わした。


 当日は栗山隆信理事の司会で始まり、役員全員が出席者に一礼した後、茂松茂人会長が登壇。昨年の医師会運営を振り返るとともに、関係者へ謝辞を述べた。その中で茂松会長は、昨年の世相を表す漢字となった「災」に言及。7月に発生した西日本豪雨災害では、岡山県倉敷市真備町へJMAT大阪を派遣した一方、大阪北部地震で被災する立場となり、「受け入れ体制の課題が浮き彫りになった」とし、早急に対策を講じると述べた。その上で、亥年に発生した大災害として富士山の宝永大噴火、伊勢湾台風、阪神・淡路大震災などに触れ、大災害への備えが必要と強調。災害医療体制の更なる構築に努めるとの見解を示した。
 また、2025年に大阪での開催が決定した万国博覧会(万博)に関しては、経済の伸びが低調であることや、超高齢社会の中で実施されることになり、懸念は残るものの万博を契機に大阪の健康指標が改善し、明るい未来へつながればと期待を寄せた。
 中央情勢では、「国民に厳しい負担が課せられる施策が検討されている」との見方を提示。国は2040年を見越した全世代型の社会保障制度を唱えているが、経済的見地からの主導に警戒感をあらわにした。更に、医療者は「健康弱者の視点を忘れてはならない」と強調。また、国民目線での医療提供体制の構築には政治家の理解が不可欠であり、「ともに考えていきたい」と述べた。あわせて、会員らに向け改めて支援と協力を呼びかけた。
 最後に、大阪府では独居高齢者数が一層増加するとの予測から、地域医療構想や地域包括ケアシステムの充実が求められると指摘。住民が住み慣れた地域で安心・安全に暮らすためには、医療・介護体制が基盤になると述べ、府民に寄り添い、支えていくと誓った。
 この日は、出席した国会議員が政党別に壇上に並び、代表者が新年の抱負を語った。日本医師連盟参与の羽生田たかし・参議院議員は、昨年の災禍に触れる中で、「今年は災いが転じて『大福』となれば」と気勢を上げた。次いで、藤垣哲彦・大阪府薬剤師会長の乾杯で祝宴に移行。和やかな雰囲気の中、府内の医療提供体制の更なる充実に向け、意見を交換した。歓談中には、自見はなこ・参議院議員や野田義和・東大阪市長も登壇し、祝辞を披露した。
 閉会あいさつでは中尾正俊副会長が、災害医療の観点からもかかりつけ医機能の充実・強化が求められると述べ、一層邁進すると結んだ。

府医の役割に期待 来賓から祝辞

 松井一郎・大阪府知事(濵田省司・副知事代読)は、万博誘致に際しての横倉義武・日本医師会長の尽力に謝辞。「いのち輝く未来社会のデザイン」とするテーマでは、府医の役割は大きいとして協力が要請された。
 吉村洋文・大阪市長(鍵田剛・副市長代読)も万博開催への支援を求めるとともに、医療・福祉への力添えを訴えた。
 竹山修身・堺市長は健康施策の充実が市民の安心・安全につながるとし、府医や堺市医師会と強固な協力体制を築きたいと述べた。
 大阪府三師会を代表した太田謙司・大阪府歯科医師会長は、万博を契機とした最先端医療の普及に期待を示しつつも、医療格差が生じないよう三師会として尽力すると加えた。