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郵政民営化の結果

府医ニュース

2018年12月5日 第2876号

 新聞報道によると、日本郵便は、普通郵便の土曜配達を取りやめ、平日のみの週5日制にすることや、差し出しから原則3日以内とされている送達日数を4日以内に緩和するよう総務省に要望した。つまり、月~金曜日に出した郵便が翌日に届いていた(土曜日に出すと月曜日到着)のに、緩和後は、日~水曜日に出すとそれぞれ2日後に、木~土曜日に出すと月曜日にまとめて届くことになる。更に、土曜配達を取りやめることで、現在約5万5千人いる配達担当者のうち、約8割分をほかの曜日や別の業務に再配置することが可能で、更には燃料費の削減効果もあるとも。
 またいつもの改革批判か、改善点だけを見直せばよいのでは、という声が聞こえる。記事から引用するが、日本郵便の要望について有識者らは「現状の郵便料金を維持するためには、サービス水準の見直しは仕方ない」とある一方、「サービス水準が下がれば利用者が減る」「コストについて公正で透明な情報提供が必要」という意見が出たという。根本にある新自由主義的政策への検証がなされている様子はない。そもそも郵政事業の民営化自体が根拠の怪しい見通しでなされ、失敗が露呈したのだという反省が彼らにはないのだ。
 確かに、現場の人員の労働環境の改善は必要であろう。公的役割が強い郵便事業とは言え、費用対効果を全く無視することも問題だ。しかし、個々のシステムの検証ではなく、中央で繰り広げられている政治・経済思想が軌道修正の時期に来ていることを行政は理解しなければならない。「インフラ運営権を民間に売却」「それが財政への貢献になる」(ともに第6回産業競争力会議)。こんなことを言う人物が、郵政民営化を主導し、その後も政府の会議で民間議員として重用されている。医療問題でもこの民間議員は積極的に発言をしているのだ。医療界も他の業界や公的事業の問題と地続きであることを自覚し、現代に蔓延る経済学思想が暴走した結果、社会前程が崩壊し国内の諸問題につながるという真実を、私は皆さんと共有したいだけなのだ。(真)