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大阪医大附属病院連携病院長会総会

府医ニュース

2018年12月5日 第2876号

茂松会長が講演

 大阪医科大学附属病院連携病院長会総会が11月15日午後、大阪市内で開催され、茂松茂人・大阪府医師会長が講演に招かれた。
 総会では内山和久病院長の開会あいさつに続き、会計報告、新任科長の紹介が行われた。星賀正明・府医理事は同病院循環器内科長に就任。地域に根付き、心不全等の循環器疾患に対応していくと述べた。あわせて、医療プロフェッショナル支援室長の立場から、新専門医制度での専攻医募集、専門研修プログラム連絡協議会の位置付けなどを示した。このほか、医学教育センターの瀧谷公隆氏より、新カリキュラムでの診療参加型臨床実習などが紹介された。
 続いて、茂松・府医会長が「大阪における地域医療構想の行方と地域包括ケアシステム」と題して講演。地域医療構想および地域包括ケアシステムの構築については、「国が都合良くまとめており、真に国民のためになっているのか」と疑義を呈した。一方で、今後を見据え、国民・府民が困ることのないよう、体制を整備しなければならないとした。
 大阪府には民間病院が多く、人的・物的資源とも厳しい体制の中、救急や入院、外来医療を提供していると指摘。国の方針で在院日数の短縮、退院後の在宅医療・介護の体制強化が進められているが、「患者の視点で考えなければならない」と重ねて強調した。また、地域医療構想の推進に向けた「大阪アプローチ」を紹介。圏域ごとのデータ分析を基に、「急性期」で報告された病棟の実像を明らかにし、公民一体で病床機能分化の議論を進めているとした。あわせて、大阪府では「医療・病床懇話会」「病院連絡会」を新設し、病床機能転換にかかる検討状況等は、各種会議で情報共有を行うと述べた。医療機能の区分については、課題も含め詳しく解説した。病床削減の対象は、二次救急に対応する病院がターゲットとなり、三次救急医療体制の崩壊を懸念。その上で、地域医療構想調整会議においては、「地域医療構想は『病床削減』の手段ではなく、2025年に向けて地域の事情を踏まえ、不足する病床機能を手当てしていくものであること」が重要とした。
 加えて、在宅医療の基盤整備に触れた。更に、地域包括ケアシステムが必要とされる背景や体制構築などを説明。急性期から回復期、手術・入院から退院後の在宅療養や地域での生活支援まで、患者の状態の変化に合わせた必要な支援を切れ目なく提供することを目指すとした。最後に茂松・府医会長は、経済動向等を踏まえ、社会保障の抑制により、国民の不安は増していると主張。医師が一致団結し、政治力を高めながら、適切な医療政策の実現に努めたいとした。