TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

ミミズクの小窓

地球に優しい食生活

府医ニュース

2018年11月28日 第2875号

 〝おお、麗しき故郷の星、地球よ、永遠なれ……〟
 頭がおかしくなったのではない。信じられないかもしれないが、不肖ミミズク、常に地球という惑星の未来に思いを馳せているのだ。文献を探していると、〝食品による環境への負荷を減らすには〟という視点の研究論文があった(Science 360:987, 2018)。ミミズクが一番愛する地球と、二番目に愛する食べ物の話となれば、たとえ専門外でも読まねばならぬ。
 著者(英国とスイス)らはどのような食物生産が地球環境に負荷を与えるかを検討するため、世界119カ国の農場3万8700を調査してデータベースを作成し、生産から消費に至る過程のCO2排出量、水の使用量、酸性化物質や水質汚染などの〝環境負荷におけるインパクト〟を推計した。
 結果で目を引くのはやはり温室効果ガスたるCO2排出量である。蛋白質では100㌘生産するのに要するCO2排出量は、豆腐を2とすると、牛肉50、羊肉20、豚肉7.6、鶏肉5.7、チーズ11、養殖魚6、卵4.2、豆類は0.3~1.2となる。牛乳1㍑の生産に要するCO2排出量は3.2であり、1千㌔カロリー相当の米では1.2であった。野菜や果物などと比べてみても、肉類・乳製品生産で生じるCO2排出量は際だって高い。肉類・乳製品は人類の摂取カロリーの18%しかカバーしていないのに、農地の83%を占有し、CO2排出の60%を占めるという。
 そこで著者たちは言う。「環境に優しい食物についての問題で、生産者にできることは限られている。事をなすべきは消費者である!」…もし人類が肉類・乳製品をやめてベジタリアンになれば、CO2排出を半減できるのみならず、農場の75%を自然に戻せるし、酸性化物質や水質汚染も半減できる、とのことである。そうなれば地球温暖化も止まり、地球は緑の惑星へと回帰できる……。
 食生活においても温室効果ガスの大票田であるCO2排出を削減して、地球温暖化を多少なりとも食い止めようとするならば、一人ひとりが〝小さなことからコツコツと〟の精神で食生活を見直すべきかもしれない。無論ミミズクも肉類・乳製品(どちらかと言えば大好物である)を減らして豆腐にシフトして温室効果削減に協力することは吝かではない。ただ自分で言うのもなんだが、長続きする自信がない。なにしろ不肖ミミズク、万事において〝根っからの温室育ち〟なのだ。