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医師・医療関係者のみなさまへ

平成30年度小児救急医療研修会

府医ニュース

2018年11月21日 第2874号

診断時の「感覚」が大切

 大阪府医師会は10月25日午後、平成30年度第1回小児救急医療研修会を府医会館で開催(後援:大阪小児科医会)。約100人が聴講した。本研修会は、夜間・休日急病診療所における小児科診療体制の補強および向上を目的に実施。同日のほか、「『小児の消化器・呼吸器・アレルギー』への対応」(11月15日)、「『小児の主な感染症』『発熱、ケイレン』への対応」(12月6日)をテーマに行われる。
 開会にあたり茂松茂人会長は、夜間・休日急病診療所は小児科診療の需要が高く、他科の医師の協力を得ながら、体制の安定に努めたいと述べた。あわせて、新天皇即位に伴う来年の連休期間中の診療体制に触れ、理解を求めた。続いて、田尻仁・大阪小児科医会長は、あいさつの中で、本研修会によって急病診療所における小児科領域の医療提供体制が、より充実するよう期待を寄せた。
 次いで、「小児救急の現状」「小児初期救急の要点」と題し、藤田敬之助氏(大阪市救急医療事業団中央急病診療所長)が講演。座長は武知哲久氏(武知小児科内科/大阪小児科医会監事)が務めた。藤田氏は、小児救急では重症例は少ないものの、緊急度に応じた診察順の決定(トリアージ)を要すると指摘。後送すべき病態を挙げながら、診療時のポイントや留意事項を解説した。
 発熱に関しては、熱の高さと重症度は異なるが、41度以上の高熱や生後3カ月未満の場合は後送するよう述べた。発疹では、写真から各疾患の特徴や見分け方など説明。更に、嘔吐や誤飲、頭部外傷などの症例を示し、対応を紹介した。
 小学生以上の鑑別診断は成人とほとんど変わらないが、乳幼児特有の疾患(RS気管支炎、突発性発疹、仮性クループ、熱性けいれん、腸重積、ロタ腸炎など)に注意するよう促した。また、子どもの特徴として、「症状をうまく訴えることができない」「病気の進行が早く、重症化の予知が難しい」――などを列挙。母親の観察や「いつもと違う」といった感覚を大切にしてほしいとアドバイス。「論理的思考」と「直感的思考」の双方から判断してほしいとまとめた。