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府医ニュース

2018年11月21日 第2874号

◆大森貝塚を発見したアメリカ人の動物学者、エドワード・S・モースは、明治初期の日本の趣を「挙動の礼儀正しさ、他人の感情についての思いやりは、日本人の生まれながらの善徳であると思われた」と日記に記している。
◆今でも、外国からその民族性を評価されていれば有難いのだが、昨今、それも危うく感じることが多い。例えば、JAFの調査によると、横断歩道で渡ろうとする人がいても、9割以上の車は止まらないそうだ。一時停止が義務であるが、「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」など、尤もらしくも自分本位の理由付けがある。JAFは、思いやりのある運転を訴えている。
◆また、車、自転車、歩行者のいずれの立場であれ、交通マナー上、相手よりも自分を正当化する傾向に陥りやすい。
◆今の社会も、ルールに偏った融通性のない正義、正当化の下、少しでもルールに触れれば、その人の人格、立場まで容赦なく責め立てる風潮がある。この国の善徳として、思いやりと寛容の民族性は失わないで欲しい。(誠)