TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.50

府医ニュース

2018年11月7日 第2873号

人生の最終段階における 医療に関する府民アンケート1.――看取りとACP
大阪府医師会理事 栗山 隆信

 超高齢社会を迎え、人生の最終段階の時期に、家族や医療・ケア関係者がどのように寄り添うかが大きな課題となっています。患者さんの意思を尊重し、尊厳ある生き方を支え、いかに看取るかを常に考えておかなければなりません。
 豊かなる 恵に満ちて 看取りする技をいそしむ わが心いよよ さやけく 新しき 道を進まん
 病人の 友なる我は 名にしおう清き少女の 曇りなき 姿のまにま 看取りする 道を歩まん
 これは、大阪府医師会看護専門学校の校歌の1番と3番の歌詞です。「看取り」という言葉は、日本語独特の表現であり、広辞苑では「看取る」という意味について「病人の世話をする。看病する」とされており、何も終末期の対応に限るということを意味していません。「最期を看取る」というふうに使われますが、病に冒された時から「看取り」は始まっているのです。
 日本医師会は、「終末期医療 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)から考える」というパンフレットを作成し、本年4月に会員に配布しました。「将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセス」というACPの考え方が説明され、「かかりつけ医」の役割の重要性が強く指摘されています。ACPは正式な日本語訳は現在無いようですが、「事前ケア計画」と表現している本もあります。在宅や施設においても、多死社会における尊厳ある生と死を実現するためにはACPの普及が重要です。厚生労働省は、普及に向けて、分かりやすく馴染みやすい愛称を付けることを決め、8月中旬から約1カ月にわたり公式サイトで公募しました。
 この度、大阪府民の人生の最終段階における医療に関する認知度や意識を把握し、本会の施策に反映するためのアンケートを行ったので、今後数回にわたりその結果を報告します。