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府医ニュース

2018年11月7日 第2873号

◆初秋に、最も危険な国宝と呼ばれる「投入堂(なげいれどう)」に参拝(登山?)した。その後、すがすがしく、倉吉の古い街並を歩く。御利益か、民具とうれしい出会い。
◆「はこた人形」。桐の木型に和紙を張り重ね、抜き取る。染料や日本絵具で彩色し、つつましやかな娘姿となる。十二工程もの手仕事での張子細工で、江戸中期に始まった。「はーこさん」と親しみ、子の健やかな成長の願いを込める。
◆もうひとつ、「倉吉絣(くらよしかすり)」。あらかじめ染め分けた綿糸(絣糸(かすりいと))で文様を表す織物。糸を紡ぎ、染め、手織りする手仕事。絵画的な柄の「絵絣(えがすり)」。一層手の込んだ「綾織(あやおり)」「組織織(そしきおり)」。江戸末期に始まり、明治には盛んに織られ、評判となる。
◆2つとも地元の女性の手仕事の結晶である。それゆえ、機械化できず、大正、昭和と衰退していた。近年、有志が残された品や文献などを丹念に調べ、貴重な手仕事の味わいを復元しての賜物である。AI化すなわちグローバリズムにさらされている医療。日本人の手仕事への情熱を残せるだろうか。(翔)