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「医療法及び医師法の一部を改正する法律」公布

府医ニュース

2018年11月7日 第2873号

都道府県主導の医師確保計画が求められる

 7月25日、「医療法及び医師法の一部を改正する法律」が公布された。一部の事項を除き、平成31年4月1日から施行される。改正の趣旨は、地域間の医師偏在の解消等を通じ、地域における医療提供体制を確保するため、都道府県の医療計画における医師の確保に関する事項の策定、臨床研修病院の指定権限および研修医定員の決定権限の都道府県への移譲等の措置を講ずるものである。
 その概要は、1.医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設2.都道府県における医師確保対策の実施体制の強化3.医師養成課程を通じた医師確保対策の充実4.地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応5.その他、地域医療構想の達成を図るための、医療機関の開設や増床にかかる都道府県知事の権限の追加、健康保険法等について所要の規定の整備等――とされている。これらのことから各都道府県は、医師確保計画として三次医療圏、二次医療圏単位で目標医師数を設定することが義務付けられ、更に二次医療圏単位で医師少数区域・医師多数区域を設定し、医師少数区域等で適切に医師が確保されることを目的とした医師の派遣調整を行うこととされる。
 現在、地域ごとの医師数の比較は、「人口10万人対医師数」が一般的に用いられているが、必ずしも地域の必要医師数を反映しているものではない。医師確保計画の実行性を確保するためには、地域ごとの医師の多寡を全国ベースで客観的に比較・評価可能な、医師偏在の度合いを示す指標を設定する必要があると考えられている。指標の設定にあたっては、様々な要因を考慮しなければならないが、まず、地域における医療ニーズ、将来の人口やその構成の変化の問題がある。
 つまり、受療率は、15歳未満の小児と高齢者及び20代から30代にかけては女性の方が比較的高いが、地域によって人口構成、男女の比率が異なる。また、地域により昼間人口と夜間人口が大きく異なる「流出入」の問題がある。大都市では、昼間人口が夜間人口より多く、大阪府では38万4837人増加する(27年度国勢調査)。
 人口対医師数は夜間人口、つまり患者住所地を基に算出されているため、主に外来診療と考えられる昼間所在地での受療行動が考慮されていない。更に医師の偏在についても、区域、診療科、入院/外来など、偏在の種別の視点も重要である。一方、医師側の要因に関しても考慮しなければならない。
 医師の性別や年齢で平均労働時間の違いが指摘されているが、地域によって医師の男女比、年齢構成は異なる。今後、医師偏在指標を基に31年度から各都道府県で医師確保計画が策定され、その翌年度から医師確保計画に基づく医師偏在対策が実施される。機能強化される地域医療対策協議会での医師会の関与が一層重要になると考えられる。