TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

拡大鏡

府医ニュース

2018年10月31日 第2872号

◆1980年代、「安楽死」や「脳死」といった「新しい死」の登場に、国民の「死」への関心が高まり、『死生観・死への準備教育』が提唱され、話題となった。
◆しかし議論が国民の多くを巻き込むことはなかったように思う。バブル期という時代背景もあって、多くの人には、自らと直接関わりのないものと見えたのだろうか。
◆さて、「多死社会」について。その到来を、増大する介護需要から否応なく実感される現在、登場した言葉が『終活』や『ACP』等だが、「死に係る言葉」としては、軽くてドライだ。コスト感覚も色濃くあり、「死のレディメイド(既製品)化を目指す」かのよう。
◆歴史学者ハラリは、前世期までは感染症・貧困・戦争の克服が人類の課題であったが、今世紀以降、人類が目指すのは幸福のあくなき追求・不老不死・アップデート(神性獲得)だとし、生物学的格差による驚異的な格差社会の到来を予言する。
◆「医療とは何か?」という問いが全く違う様相を呈しつつ、私達の前に登場した。(猫)