TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

ダウン症治療や子宮再建などの将来像示す

府医ニュース

2018年10月3日 第2870号

周産期医療研修会

 大阪府医師会・大阪産婦人科医会共催(大阪小児科医会・産婦人科診療相互援助システム〈OGCS〉・新生児診療相互援助システム〈NMCS〉)による平成30年度第2回周産期医療研修会が9月22日午後、府医会館で行われた。本研修会は大阪府委託事業として実施。今回は「最先端医療――ここまで進んだ周産期医療」をテーマとし、会員や医療関係者ら約150人が聴講した。
 冒頭、主催者を代表し、笠原幹司理事があいさつ。OGCS・NMCSの発展により、大阪では全国トップクラスの周産期緊急医療体制が整備されてきたとして、関係者らの尽力に謝意を表した。また、本日の講演内容は「近い将来の周産期医療」の姿であり、最新の知見を得て日常診療の一助としてほしいと述べた。
 大橋敦氏(関西医科大学准教授)および荻田和秀氏(りんくう総合医療センター産婦人科部長兼周産期センター産科医療センター長)が座長を務め、まず、北畠康司氏(大阪大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター・小児科講師)より、「あなたが送り出したダウン症児/その後どうなっているのか知っていますか?――最新の臨床課題と最先端研究を分かりやすく」と題する講演が行われた。北畠氏は、ダウン症児の平均寿命は周産期医療や外科技術の進歩により飛躍的に伸び、現在は60歳になっていると指摘。それに伴って、アルツハイマー病患者への対応など、以前は想定されなかった「成人期のダウン症」が課題になってきているとした。一方、自身らの研究で、ダウン症での神経細胞死を抑制することが可能な薬剤の同定に成功したと報告。今後の治療に結び付くのではないかと期待感を示した。
 続いて、丸山哲夫氏(慶應義塾大学医学部准教授)が、「子宮の再生・再建医療――子宮移植の先を見据えて」と題して登壇。4年前にスウェーデンで世界で初めて子宮移植により生児を得たものの、倫理面や安全性など大きな課題が残っていると前置き。現在は、「自己細胞・組織を用いた子宮再生や再建医療」へシフトしつつあるとし、現状での研究成果や将来像を語った。