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時事

生活と支え合いに関する調査結果公表

府医ニュース

2018年9月19日 第2868号

気付かされる、あたりまえのこと

 8月10日、国立社会保障・人口問題研究所から「生活と支え合いに関する調査」(旧:社会保障実態調査)結果の概要が公表された。この調査は5年ごとに実施され、今回の有効票数は、世帯票1万369(有効回収率63.5%)、個人票1万9800(同75.0%)となっている。
 プレスリリースでの調査結果のポイントは、▽食料や衣服の困窮、電気・ガス・電話代の未払い、家賃・住宅ローン・その他債務の滞納を経験した世帯は、前回調査に比べ減少▽普段の会話頻度が「2週間に1回以下」の個人は2.2%。世帯タイプ別では、ひとり暮らしの高齢者の男性が15.0%、女性が 5.2%▽「日頃のちょっとした手助け」では、頼れる人がいないと答えた個人は7.4%。世帯タイプ別では、ひとり暮らしの高齢者の男性が30.3%、女性が9.1%▽働いている個人の約3割が家族と一緒に過ごす時間が十分取れていないと考えている――であった。
 また、医療系のメディアでは、「必要な受診をしなかったことがある」が7.1%存在し、その理由が「多忙で時間がなかった」が最多(64.8%)で、「お金が払えなかった」が次いでいた(19.9%)ことなどが注目されたが、全88頁に及ぶ概要では、その他にも興味深い分析がなされている。
 住まいと社会関係性の項で、「日頃のちょっとした手助け」で頼れる人がいるとの回答は、給与住宅(社宅・官舎など)居住者で最も高く(81.3%)、一戸建て持ち家がほぼ同水準(81.2%)で、最も低かったのはUR・公社等の賃貸住宅(66.4%)であった。65歳以上で希望介護場所を「自宅」とした割合は、持ち家で高く(一戸建て31.9%、マンション28.4%)、民営の賃貸住宅が次ぎ(24.1%)、UR・公社等の賃貸住宅、公営住宅で低かった(19.8%、19.2%)。部屋数別では、自宅部屋数が1部屋では9.5%であったが、2部屋では19.0%、3部屋で28.8%と上昇し、4部屋以上では30%を超えていた(30.0~33.6%)。
 「長生きは良いことか」の質問に対し、「とてもそう思う」との回答は24.3%(男性27.3%、女性21.7%)で、「ややそう思う」と合わせると、67.9%が肯定的に捉えていた。肯定的回答は、若年者が高年齢層より(18~19歳83.3%、85歳以上60.7%)、男性では「配偶者あり」が「未婚」「死別」「離別」より多かった(71.5%、65.8%、61.0%、59.0%)。なお、女性では上記は68.2%、69.9%、61.6%、59.8%であり、わずかながら「未婚」の方が高かった。所得階級では、最も低い分位の63.3%に対し、最も高い分位では73.9%であった。更に「健康上の問題による活動制限」がない方がある方より、「現在や過去の介護経験」がない方がある方より、65 歳以上の高齢者について「会話頻度」の多い方が少ない方より、長生きを良いことと捉えていた。
 医療や介護の意向も、生活環境が土台になっていることを、あらためて実感させられる。(学)