TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

高井新会長、今後の会務運営など示す

府医ニュース

2022年9月21日 第3012号

医師が医療を提供しやすい環境に

 第323回大阪府医師会臨時代議員会(8月25日)で会長に選任・選定された高井康之会長。第23回定例理事会(8月30日)で役員の会務分掌も一部修正され、9月1日より新体制となった。本格的スタートにあたり、現在の心境や会務運営の方針などを聞いた(聞き手・大平真司理事〈広報担当〉)。

大平 9月1日より広報担当に就任いたしました。長年広報を務められた阪本栄副会長の後任となります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
高井 よろしくお願いいたします。
大平 さっそくですが、先日の府医臨時代議員会で、第17代府医会長に選任・選定されました。現在の率直なお気持ちをお聞かせください。
高井 9月1日から会長として会務にあたっています。責任の重さを日々痛感しています。府医には、約1万8千人の会員がおられますが、一人ひとりがやりがいを感じられる環境を作れるようサポートしていきたいと思っています。
大平 具体的にはどのような方針をお考えでしょうか。
高井 故植松治雄・元府医会長から、「医療は社会保障制度の理念に基づき守る」「実のある国民皆保険制度を堅持する」という薫陶を受けました。この考えを胸に、諸先輩方が築きあげた伝統を受け継ぎ、府民の命と健康を守る視点を大事にしたいと考えています。

趣味はアマチュア無線 学生時代はラグビー

大平 高井会長のお人柄も会員に知っていただきたいと思います。どのような趣味をお持ちでしょうか。
高井 中学生の頃からアマチュア無線を続けています。海外の方との交流や、医師以外の方ともつながり、幅広い分野に興味を持てました。海外旅行にもよく行き、20カ国以上は訪れたと思います。また、外食も好きで、コロナ禍前は妻と食事に出かけ、気分転換をしていました。あと、学生時代はラグビー部に所属していました。体格が良かったのでロックのポジションで、通算のトライ数は1回だけでした(笑)。
大平 高井会長は長く府医の役員を務められています。何か印象に残った出来事などはございますか。
高井 平成20年と22年に2度行われた府医の会長選挙が印象に残っています。当時は、府医が分裂するという状況になりましたが、今は融和され、一つにまとまっていると感じています。こうした歴史を乗り越え、府医の団結はさらに強くなったように思います。

山積する課題 会員のため全力尽くす

大平 現在の医療を取り巻く状況や課題についてはどうお考えでしょうか。
高井 最大の懸案は新型コロナウイルス感染症対策です。また、かかりつけ医の制度化といった話も挙がっており、誤った方向に進まないよう注視していく必要があります。
大平 コロナの全数把握を見直すといった議論があります。
高井 国の方針では感染者の総数は引き続き把握するようですが、軽症・中等症の方に必要な医療や支援が届かなくなることが心配です。HER―SYSのシステムを改修し現場の負担を減らすことも重要です。
大平 課題の解消に向けて府医ができることを教えてください。
高井 会員が全力で適切な医療を提供できる環境を作ることです。コロナ禍で様々な課題も見えてきました。制度の不備があれば修正するよう求め、最良の医療が行えるようバックアップしていきたいと思います。
大平 執行部(役員)には、どのような働きを求められますか。
高井 まずは遠慮なく討論してほしいですね。ただ、決まった方針については一丸となって推進していただきたいと思います。
大平 医療デジタルトランスフォーメーション(DX)についてはいかがでしょうか。
高井 確かに医療のIT化が遅れているという側面はあります。一方で、デジタル化ありきでDXを推進するのは違うと思います。蓄積されたデータがオープンソースとして、将来の医学の進歩につながれば良いですが、一部の機関が独占するようなら大きな問題です。

日医との連携 茂松理事の役割期待

大平 日本医師会の役割について教えてください。
高井 国との交渉が日医の大きな役割です。松本吉郎・日医会長は「地方から中央に」「国民の命を守る」との方針を打ち出されています。大阪から意見は出しますが、日医の方針として決まった事項は、協力していくつもりです。基本的に日医とは連携していきたいと考えています。
大平 茂松茂人理事(前府医会長)が副会長として日医執行部に参画しています。
高井 そういう意味でも連携しやすい環境が整っています。地区医師会から会員の声を吸い上げ、日医に伝えていくことが大切です。日医とのパイプ役として茂松理事の存在は非常に大きいです。
大平 連携は重要ですね。
高井 関係団体や行政とも連携は必要です。大阪府歯科医師会・薬剤師会・看護協会などとも連携を密にし、府民が住み慣れた地域で安心して暮らせるような医療提供体制を構築していきたいと思います。

会員に向けて

大平 最後に、会員に向けてメッセージをお願いします。
高井 国が目指す医療の方向性を鑑みると、制約が大きくなっていくと予想されます。医療が制限されるような動きには断固として反対していかなければなりません。そのためには、政治の力を借りることも必要です。郡市区等医師会の役員の先生方には医政の大切さが伝わっていると思いますが、次の段階として様々な機会で会員一人ひとりに医政の大切さを伝えたいと考えています。今後も一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

高井 康之(たかい やすゆき)会長

 昭和26年8月23日生まれ、71歳。52年大阪大学医学部卒業(専門は内科)。平成16年12月~26年6月まで府医理事(20年4月~22年3月までは除く)、26年8月府医副会長。