患者や医療機関の消費税負担増 日医は回避に主導的役割を

府医ニュース 2012425 2638

 

政府は3月30日、野田佳彦首相が最重要課題としている消費税率を平成26年4月に8%、2710月には10%に2段階で引き上げる消費税増税関連法案を閣議決定した。将来の社会保障の安定的な財源として消費税を充てるとし、その使途目的を明確化している。

 

 社会保障の財源確保が必要であることは論を俟たないが、長年にわたる控除対象外消費税に関する問題は未解決のままである。このままの非課税規定で消費税率が引き上げられると多くの医療機関の経営が立ち行かなくなり、医療崩壊が急速に加速することが危惧される。社会保険診療報酬にはこれまで消費税導入時と税率引き上げ時に消費税分が上乗せされ、これをもって消費税負担問題は解決済みとされてきた。つまり、平成元年の診療報酬改定(全体)で0.76%、平成9年の改定で0.77%、合計1.53%上乗せされているというものである。しかし、実際は社会保険診療収入に占める控除対象外消費税の割合は病院、有床・無床診療所いずれにおいても毎年2%を上回っており、その負担額は1医療機関当たり数千万円から数億円と言われている。したがって、診療報酬における1.53%の補填では十分でなく、更にその後のマイナス改定で補填分がなくなってしまっている可能性がある。

 

 日本医師会は3月12日、社会保険診療報酬を非課税制度から課税制度に改めた場合の諸影響についての会員の意識を把握するため、昨年6月から7月にかけて各都道府県医師会および各郡市医師会に対して実施した「消費税要望に係るアンケート」の集計結果を報告した。回答総数は8663件(回答のあった1医師会あたり約11件)、回答のあった医師会は789医師会(依頼した937医師会の約84%)であった。その結果、課税となった場合の患者負担について、「負担増とならないよう何らかの措置が必要」とする意見は6割超と、日医の「患者負担を増やさない」とする方向性は概ね支持された。窓口での患者への説明について「対応できる」とする回答が5割超を占めたものの、現場で混乱が生じないよう国による事前の広報・周知および日医の支援が必要と考えられた。また、課税による医療機関の事務負担増については「やむを得ない」とする回答が5割超を占めたが、「非課税制度の枠内で解決を図るべき」との回答も3割超を占めた。

 

 厚生労働省は今後、高額な投資、診療報酬制度への対応を行いつつ10%の段階でも非課税を維持し、医療機関の消費税負担について定期的に検証する場を設けるとしている。日医には会員、国民の理解を得ながら医療機関の「損税」問題に引き続き主導的に対処して頂きたい。